HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52921 Content-Type: text/html ETag: "a1ed7-197b-4db96bde9a98e" Expires: Wed, 01 May 2013 15:19:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 01 May 2013 15:19:10 GMT Connection: close 日露首脳会談 領土交渉に「魔法の杖」はない : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




現在位置は
です

本文です

日露首脳会談 領土交渉に「魔法の杖」はない(5月1日付・読売社説)

 北方領土問題を解決して日露関係を前に進めようという双方の意志が確認された。首脳外交で打開を探る必要がある。

 安倍首相がモスクワでプーチン露大統領と会談した。

 戦後67年たってなお日露平和条約が締結されていないのは「異常」との認識で一致した。懸案の北方領土問題については、「双方に受け入れ可能な解決策」への交渉を加速化することで合意した。

 暗礁に乗り上げていた平和条約交渉の再開は歓迎したい。

 両首脳が発表した共同声明は過去の「諸文書及び諸合意」に基づき交渉すると明記した。北方4島の帰属問題を解決して平和条約を締結するとした2001年のイルクーツク声明などが含まれる。

 長年にわたる交渉の経緯を尊重して、仕切り直すのは当然だ。

 だが、日露間の隔たりは大きい。大統領は、1956年の日ソ共同宣言に明記された歯舞、色丹両島の引き渡しで決着を図る意向とされる。日本とすれば、2島返還だけでは到底受け入れられない。

 首相は共同記者会見で、「一気に解決する魔法の(つえ)はない」と語った。その通りだ。今、領土問題は容易に動く状況にはない。

 昨年6月、野田前首相もプーチン大統領と会談し、交渉の「再活性化」で一致しながら、何ら進展はなかった。それどころか、ロシアは北方領土に開発予算を投じ、「ロシア化」を進めている。

 困難さを増す領土問題を解決に導くには、高度な政治決断と国内をまとめる政治力が必要だ。そのために、首脳間の信頼関係の構築が欠かせない。安倍首相には、具体的な成果を求めたい。

 首相にとっては、政権基盤を固め、日本経済を再生させることが交渉力の強化につながろう。

 大統領の関心がアジアに向いていることは、日本にプラスに働く。ロシアは、東シベリア・極東地域の開発で日本の投資に期待している。天然ガスなど資源の供給先としてだけでなく、医療や農業分野での技術力に関心が高い。

 首相も今回、大勢の企業経営者らを同行させ、ロシア側の要請に応える姿勢を示した。

 両首脳は、外務・防衛閣僚会議(2プラス2)創設で合意した。中国を牽制(けんせい)するうえでも、北朝鮮の核開発問題に向き合うにも、日露は共通の利害を有している。

 日露関係の幅を広げ、強化する中で領土問題解決の糸口をどう見いだすか。早速、次官級で交渉を始めるという。焦らず、じっくり腰を据えて戦略を練るべきだ。

2013年5月1日01時44分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

 ピックアップ

トップ
現在位置は
です