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判決が説くもっとも大切なところを見ず、国民に正面から向きあっていない。そう言わざるを得ない、誤った対応である。成年後見制度をめぐる裁判で敗訴した国(政府)が、控訴の手続[記事全文]
2040年までに、自分たちの町がどんな姿になるのか。人口構成が変化していくなかで、福祉や教育をどう整備していくべきか。有権者として考えるきっかけとしたい。「地域別将来推[記事全文]
判決が説くもっとも大切なところを見ず、国民に正面から向きあっていない。そう言わざるを得ない、誤った対応である。
成年後見制度をめぐる裁判で敗訴した国(政府)が、控訴の手続きをとった。
公職選挙法は、十分な判断能力がなく後見人がついたお年寄りや知的障害者には、選挙権を与えないとさだめている。
東京地裁は今月14日、「主権者としての地位を事実上奪うものであり、参政権を保障した憲法に違反する」と述べた。控訴とは、この奪い、奪われた状態を変えないことを意味する。
国の言い分はこうだ。
後見をうけている人にも選挙権を認めると、不正投票に利用されるおそれがある。判断能力に応じてどんな線引きができるかを検討し、法律を改めるにしても、時間が必要だ。控訴せずに判決を確定させた場合、法改正までの間、全国の選挙事務に混乱が生じる――。
東京地裁が判決理由の中で、「相応の能力を備えていない人には選挙権を与えないという考え自体には、合理性がある」と述べたことが、ひとつの支えになっているとみられる。
だが、実際にそのような「線引き」ができるだろうか。
そもそも裁判で国側は「選挙権の適切な行使が可能か否かを個別に審査する制度はつくれない」と主張してきた。そこで、おもに財産を管理する能力の有無を判定する成年後見制度を、性格の異なる選挙に「借用」したのではなかったか。
そんな借用は認められないと裁判所に指摘されたので、別のものさしを探す。そしてそのものさしが見つかるまで、主権者から権利を取りあげ続ける。
こんな手前勝手なふるまいが許されるはずがない。
公選法の問題の規定を、まず削除する。そのうえで、どうしても「線引き」や不正投票を防ぐ措置が必要だというのなら、しかるべき手当てをする。
それが本来の道だ。控訴は、政府と国会の考え違いのつけを国民に回すことに他ならない。
おりしも一票の格差をめぐって厳しい判決があいついだ。成年後見訴訟とあわせ見えてくるのは、民主政治とそれを支える選挙の重要性を、正しく理解しようとしない政治の姿だ。
連立与党をくむ公明党の北側一雄副代表は、官邸から「役所(総務省、法務省)が控訴するよう強く言っている」と説明をうけた、と話した。
何とも情けない。民主主義の根幹にかかわる話である。政治が決断しなくてどうするのか。
2040年までに、自分たちの町がどんな姿になるのか。人口構成が変化していくなかで、福祉や教育をどう整備していくべきか。有権者として考えるきっかけとしたい。
「地域別将来推計人口」がほぼ5年ぶりに発表された。国立社会保障・人口問題研究所のサイトに詳細なデータがある。
ぜひ見て欲しいのが、あなたの住む町の詳細情報だ。
原発事故の影響で予測が難しい福島県内を除く1799の市区町村について、男女別・5歳刻みの人口が5年ごとに推計されている。
都道府県ごとに自治体を比較するなら「結果の概要」が把握しやすい。年少(15歳未満)、生産年齢(15〜64歳)、高齢者(65歳以上)、後期高齢者(75歳以上)の人口変動などが整理されている。
高齢化のインパクトを見てみよう。
40年の時点で75歳以上の人口が占める割合だけをみれば、東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、大阪、福岡といった大都市圏は約17〜21%だ。秋田の28%、青森の26%などと比べると低い部類に属する。
問題は、増え方が急激なことだ。大都市圏では75歳以上人口が10年の1・6倍以上になる。都市部に移り住んだ団塊の世代が高齢化するからだ。
全国で増加率が最も大きい埼玉県では、60万人弱から120万人弱にまで増える。県庁所在地のさいたま市だけでも11万人以上の増加だ。
埼玉県は人口当たりの医師数が全国で最も少ない。介護サービスは施設・在宅とも不足が深刻化するおそれがある。
医療や介護を考える場合、重要なのは高齢者の絶対数だ。一人ひとりのニーズをくみ上げ、それに見合ったサービスを提供できるかが問われる。
一方、地方は十数年で高齢化率は頭打ちになるものの、人口減少は続く。
そんな中でも、踏ん張る自治体はある。長野県南部にある人口4200人の下條村は、行革などで捻出した独自財源で、若い世代が定住しやすいよう、家賃が格安の住宅を整備したり、高校生までの医療を無料化したりしてきた。
その効果で、40年にかけての人口の減少幅は1割弱にとどまる。東京都板橋区とほぼ同じ傾向である。
推計はあくまで過去のトレンドを参考にしたものだ。人口減少や高齢化そのものは止められなくても、影響は緩和できる。そのための手を打とう。