HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 27 Mar 2013 00:21:05 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:ガス基地構想 原発の次へ踏み出そう:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

ガス基地構想 原発の次へ踏み出そう

 福井県若狭湾岸の「原発銀座」を液化天然ガス(LNG)基地や発電所に置き換えようと先月、地元政財界が研究会を発足させた。何より、雇用が確保される。原発の次へ踏み出す一歩にしたい。

 日本原子力発電(原電)敦賀原発1号機は一九七〇年三月十四日、大阪万博の開幕に合わせて営業運転を開始した。日本最古の軽水炉は、高度経済成長のまさに象徴だった。

 その日から四十年あまり、敦賀原発のある若狭湾一帯には、日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」も含めて十四基もの原発が集中し、「原発銀座」と呼ばれるようになっていた。

 原発銀座は、関西圏で消費される電力の半分以上を送り出した。同時に過疎地は交付金で潤った。

 ところが3・11は、この地域にとっても転機になった。

 安全神話は偽りだと分かり、その後の調査では大地震の原因になる活断層が次々に発見されている。直下に活断層が見つかった敦賀2号機の存続は難しい。さらに原子炉の老朽化も著しい。これからは、新増設はおろか、再稼働も難しいだろう。そうなれば、地域の体質改善は避けられない。

 とは言うものの、原発なしで町や暮らしが成り立つのだろうか。住民は、安全と経済のはざまで揺れながら、二重の不安を抱えているのが現状ではないか。

 私たちは、港や送電網といった既存の発電インフラや長年の原子力技術の集積を生かし、原発に代わる新産業をこの地域で育成すべきだと訴えてきた。培ってきた放射線の研究やその医療への応用などである。

 敦賀港には大型タンカーが接岸可能だ。LNG大国ロシアに近く、関西、中京圏という消費地からも遠くない。エネルギー基地として十分な地の利がある。既存の送電網は地域の強い味方になる。

 研究会では、一足飛びの脱原発ではなく原子力を含むエネルギーミックスが唱えられた。原発は手放さないということだ。しかし長い目で見れば脱原発は時代の要請でもある。大いに検討してほしい。

 若狭湾の再開発は、原発の出口戦略づくりの良いモデルになるかもしれない。

 日本中で最も長く、最も多くの原発と向き合い、共存してきた若狭の未来図でもある。政府は、支援を惜しむべきではないし、電力消費地からも、応援したい。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo