HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 26 Mar 2013 20:21:04 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:衆院選は「無効」 初の決断を評価する:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

衆院選は「無効」 初の決断を評価する

 昨年の衆院選をめぐる「一票の格差」訴訟で、広島高裁は「違憲・無効」と断じた。選挙無効の判決が出るのは戦後初だ。明白な不平等を放置した国会に突きつけた、司法の決断を大いに評価する。

 「憲法が要求する投票価値の平等に反する状態が悪化している」「基本的権利である選挙権や、民主的政治のゆがみは重大」と、広島高裁は違憲理由を述べた。

 ただし、無効は「今年十一月二十六日の経過後に発生する」という“未来の無効”だ。国会に是正の猶予期間を与えたわけだ。

 昨年末の総選挙は、一票の価値に最大二・四三倍もの格差があった。言い換えれば、ある人は「一票」なのに、ある人は「〇・四一票」しか持たない状態だ。明らかに不平等といえる。

 しかも、二〇一一年に「違憲状態」とした最高裁判決で、「一人別枠方式」を廃止するよう促されていた。あらかじめ四十七都道府県に一議席ずつ配分する、地方配慮の方法である。だが、国会は事実上、同方式を温存したまま、「〇増五減」の是正策を行った。同時に従来の区割りで行われた総選挙は、最高裁判決から一年九カ月もたっていた。制度の抜本改革には十分な時間があったと考えられよう。つまり、国会は最高裁の指摘を無視したに等しいのだ。

 この状況を踏まえ、既に東京、札幌、仙台、金沢、高松の五つの高裁と高裁支部は「違憲」と判断しており、広島高裁も同じ論理で「違憲」と導いたといえる。

 異なるのは、各高裁がためらった「選挙無効」まで踏み込んだことに尽きる。そもそも違憲なのに無効を認めない判断は、一九七六年の最高裁の「事情判決の法理」と呼ばれる理論による。行政処分が違法でも、取り消すと、公の利益に著しい障害が生じる場合は請求を棄却できる−。行政事件訴訟法の規定を援用したのだ。

 ただし、選挙無効訴訟で事情判決を行うことは、そもそも条文に定めがない。公職選挙法は、選挙無効訴訟には行政事件訴訟法の規定を準用しないと明記しているほどだ。裁判所は政治的混乱を回避するため、これまで無理に無理を重ねてきた。司法は国民の方を向いてこなかったわけだ。

 どんな有権者も等しく一票を持つ「一人一票」の考え方を尊重してほしい。国会は十一月まで八カ月間の猶予をもらった。判決に異を唱えるよりも、根本的な選挙改革に踏み出すべきだ。

 

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