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英首相だったチャーチルが訪米してホワイトハウスに泊まったとき、入浴中のドアをルーズベルト大統領がノックした。チャーチルはタオルを腰に巻いてドアを開けながら、言ったそうだ。「イギリスの首相は、アメリカの大統領に隠すようなことは何一つありません」▼さて今の時代、チャーチルのように「丸裸」で悠然となれるだろうか。肉体ではなく、個人情報のことである。ネットショップ、IC乗車カード、クレジットカード、携帯、あれやこれや、日常の様々な行動が電脳空間に記憶されている▼日々積もっていく情報の蓄積は、詳細かつ膨大だ。一つ一つは断片でも、誰かがつなぎ合わせれば、たちまち私生活は丸裸になる。腰に巻くタオルさえ、はぎ取られるかもしれない▼電子の網に絡まりながら人が生きる時代に、「共通番号法案」の審議が国会で始まった。国民全員に生涯不変の番号をふり、所得や年金などの個人情報を国が管理する制度である。利点はわかるが、心配ごとも少なくない▼想像してみよう。将来、民間にも番号利用が広がった場合、顧客管理や保安などのために、各所で番号の提示を求められることもあろう。そうすれば一挙一動の情報がこの番号にぶら下がることになりはしないか▼番号を合鍵に、ある日、風呂場のドアが突然開くかも知れない。なりすまされる不安もある。国の管理が「監視」に化ければ、それはそれで恐ろしい。問題の多さに比べて議論と周知は足りるのか、気にかかる。