HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 21 Mar 2013 22:21:04 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:南海トラフ地震 減災努力を積み重ねて:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

南海トラフ地震 減災努力を積み重ねて

 南海トラフの巨大地震で、二百二十兆円の被害が出るという衝撃的な想定が公表された。食料や住宅、産業など生活を直撃する。被害を最小限に食い止める、減災の努力を積み重ねるしかない。

 東日本大震災の十倍もの被害と聞けば、その甚大さが、ある程度、想像できるのではないか。建物や電気、水道などインフラが損壊する直接被害は約百七十兆円だ。

 企業の生産やサービスなども、ほぼ活動停止状態になるので、約四十五兆円も吹き飛ぶ。それらを合わせた二百二十兆円という数字は、国家予算の二倍強に相当する莫大(ばくだい)な金額なのだ。

 南海トラフは、駿河湾から四国沖に延びる浅い海溝だから、名古屋や大阪などを中心とした、製造業を支える地帯が、直接的な被害を受ける。鉄道や高速道路など東西を結ぶ大動脈は寸断され、日本列島の太平洋側はマヒ状態に陥ってしまうわけだ。影響が全国にも及ぶのは確実だ。

 たしかに前提となるマグニチュード(M)9級の地震は、千年に一度以下の頻度だ。だが、東日本大震災がそうであったように、明日、起きるかもしれない巨大地震なのだ。もともと政府は東海地震が三十年以内に起きる確率を88%、東南海地震を70%、南海地震を60%と予測していた。三連動はいつ来ても不思議ではない。

 最悪ケースを想定するのは当然だ。停電率は二十府県で約90%で、愛知では三百七十万軒が電力を失う。上水道も中部以西の十一県で、90%が断水に見舞われる。都市ガスも通信網も機能不全に陥る…。つまり国民生活の基盤が根こそぎやられてしまうのだ。

 強い懸念を覚えるのは、避難者が関東以西の四十都府県で、九百五十万人にものぼることだ。しかも、断水などの影響で、避難所に行く人がピークになるのは、地震発生から一週間後とみられる点は重要だ。最多の愛知では百九十万人、大阪では百五十万人、静岡では百十万人の避難者が出る。

 当然、物資不足に陥る。最初の三日間よりも、四日目から七日目に食料も水も不足分が倍増する。毛布も大量に足りない。

 これをどう補うのか。自治体のさらなる努力は当然として、一人一人も一週間分の備蓄が欠かせないだろう。

 建物の耐震化や火災対策、津波からの早期避難などを講じれば、被害は半減できるとも試算される。できることはやる。その自覚こそが減災につながる。

 

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