HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 70458 Content-Type: text/html ETag: "14b397f-1c71-6f240680" Cache-Control: max-age=1 Expires: Wed, 20 Mar 2013 20:21:08 GMT Date: Wed, 20 Mar 2013 20:21:07 GMT Connection: close
リーダーは心して選びたい。イラク戦争から10年の節目に思うのは、一国の指導者の覚悟と責任だ。米軍4487人、イラクの民間人12万人。どちらかの大統領が別人ならば、消えずにすんだかもしれない命である▼イラクでは今も、市民が爆弾テロに倒れている。独裁者とその一味を退治する代償としては重すぎる。あの戦争で巨額の財政負担を抱えた米国は、内向きに転じ、中国の台頭を早めることにもなった▼イラクが大量破壊兵器を隠し持つという前提が、そもそも虚構だった。だが、当時の小泉首相は即座に開戦を支持した。官房長官だった福田康夫氏は「我々も、情報は特別にあるわけじゃない。それが最大の問題だった」と語る▼「小泉首相独特の政治判断というか、どうせ支持するなら早くしたほうが日本をたくさん売れる、という気持ちがあったんじゃないかな」。日本は対米追従にとらわれ、大義なき戦争に加担してしまった▼米国の同盟国でも、ドイツやフランス、カナダは開戦に反対した。わが国に欠けていたのは、情報より外交そのものだと思う。国際協調を軸に、あまねく目配りの利いた自主の外交である。どこで間違えたのか、日本はどれほど「売れた」のか、小泉氏自身が語る時だろう▼「良い戦争と悪い平和は、あったためしがない」。アメリカ建国の父の一人、B・フランクリンの至言である。あの戦争が正しかったと言い張る人は、100ドル札の彼に対面してもらいたい。笑ってはいないはずだ。