HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52490 Content-Type: text/html ETag: "ba7ad-188e-4d8494249b184" Expires: Wed, 20 Mar 2013 02:21:12 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 20 Mar 2013 02:21:12 GMT Connection: close 原子力防災計画 政府の積極支援で整備を急げ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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原子力防災計画 政府の積極支援で整備を急げ(3月20日付・読売社説)

 原子力発電所の重大事故に備え、住民の避難方法や避難所を決めておく地域防災計画作りが、原発周辺の自治体で難航している。

 極めて問題である。

 原発が非常事態に陥った時、計画が整備されていないと適切な避難誘導ができず、住民の被曝(ひばく)を防げない恐れがあるためだ。

 対象自治体は21道府県と136市町村に及ぶが、原子力規制委員会によると、策定済みなのは、半数以下の70自治体にとどまる。

 計画は、規制委が示した原子力災害対策指針に基づき、規制委設置法施行から半年の18日までに定めることになっていた。

 原発再稼働の法的な条件とはされていないが、立地地域に再稼働の理解を得るためには、現実的な計画が求められる。

 規制委の田中俊一委員長は「再稼働までに計画を設けてほしい」と取り組みを促している。策定済みの計画についても、「本当に安全に資するかどうか規制委として点検したい」と述べ、自治体任せにしない考えを示した。

 計画の重要性を考えれば、もっともな見解である。

 規制委は、防災関係省庁とも連携して、対象自治体の計画策定を積極的に支援する必要がある。

 関係自治体が計画作りで依拠すべき規制委の指針は、東京電力福島第一原発事故の手痛い教訓を踏まえて改定されたものだ。

 事故前の古い指針は重大事故が起きることを前提としておらず、現実的なものではなかった。実際、避難で混乱が生じ、放射能の汚染地域に住民がとどまった。

 先月改定された新指針は、事前の対策を求める地域を従来の半径8〜10キロ圏から約30キロ圏に拡大した。避難を開始する基準や、甲状腺被曝を防ぐ安定ヨウ素剤を事前配布することなども定めた。

 ただし、指針が改定されてから、まだ1か月足らずだ。計画の策定期限までに、自治体に許された作業時間はわずかだった。

 大幅改定だけに対応は容易でない。速やかに避難できる場所をどこに確保すべきか。30キロ圏に範囲が拡大したため、県境をまたぐ例も増えた。対象住民が100万人近くに達する地域もある。

 市町村側は「自治体間の調整の場が必要」と求めている。「緊急時の放射線測定は自治体でなく国が担うべきだ」との声もある。

 福島第一原発の事故で、政府と自治体は連携を欠いた。両者の役割分担について再検討することも今後の重要な課題である。

2013年3月20日01時03分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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