HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 19 Mar 2013 20:21:06 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:原発被災支援法 いつまで待たせるのか:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

原発被災支援法 いつまで待たせるのか

 支援はいつ始まるのか。「原発被災者支援法」は福島だけでなく、もっと幅広く、公的支援の外に置かれる近県の住民や自主避難者らにとっても頼みの綱だ。待ち望む被災者を裏切ってはならない。

 「原発事故子ども・被災者支援法」は、日本版「チェルノブイリ法」と呼ばれ、昨年六月の国会で、超党派提案の議員立法として全会一致で成立した。福島原発事故によって被害を受けている子どもや住民に「避難の権利」を認め、健康や暮らしの支援を目的にする。原発事故の避難区域外の住民には支援がなく、広い地域の支援を目指しているが、施策を仕切る復興庁が根幹になる基本方針すら定めていない。全国会議員が賛成した法律が九カ月もたなざらしというのは、異常だ。

 今月、国会で開かれた市民集会は、動かない政府への異議申し立てさながらだった。放射能汚染と戦ってきた各地の代表がこの二年を報告し、法の具体化を訴えた。

 福島県境の宮城県白石市に住む古山智子さんは、「県境で支援を線引きしないで」と訴えた。県南部は年間被ばく線量が、一般の被ばく限度の一ミリシーベルト(毎時〇・二三マイクロシーベルト)を超え、福島と変わらない地域が珍しくない。だが、継続的な健康調査もない。文部科学省のモニタリング地点はあるが、周辺が除染されて線量が低い。深刻さが隠されているようで不満だ。

 同じく県境の栃木県那須塩原市の手塚真子さんも、子どもの健康被害を心配する。有志を募り、福島県の病院と提携して甲状腺がん検査を実施すると、希望者が殺到して対応しきれなかった。

 線量は下がったとはいえ、事故前より高い。福島市から新潟市に自主避難中の村上岳志さんは、余計な被ばくを避けたい思いを認められるべきだと訴える。

 低線量被ばくを恐れながらも、地域がぎくしゃくするのを恐れて声を上げられず、地域に残る住民は大勢いる。だからこそ支援法は自己決定権を尊重する。元の居住地にとどまっても、離れても、分け隔てなく被ばくを避ける権利を保障する。支援は健康管理や就労、就学、医療、保養など。体内に入った核種を調べる内部被ばく検査は今すぐ行うべきだ。

 「チェルノブイリ法」も、年間被ばく線量が一ミリシーベルト以上の地域を「移住(避難)の権利地域」と定め、とどまる人にも、離れる人にも医療や生活を支援した。日本ができないはずがない。被災者に希望を持たせてほしい。

 

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