HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52424 Content-Type: text/html ETag: "ad7b5-1853-4d83561d471da" Expires: Tue, 19 Mar 2013 03:21:12 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 19 Mar 2013 03:21:12 GMT Connection: close 南海トラフ地震 最大級の危機にどう備えるか : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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南海トラフ地震 最大級の危機にどう備えるか(3月19日付・読売社説)

 東海、東南海、南海地震などが同時に起きるマグニチュード(M)9級の南海トラフ巨大地震について、政府の中央防災会議作業部会が被害予測の全体像をまとめた。

 経済的被害は最悪の場合、約220兆円に上る。このうち、地震や津波で建物などが壊れる直接の被害だけで、最大約170兆円に達する。東日本大震災の約10倍に相当する額だ。官民が連携し、備えを強化せねばならない。

 首都圏から中部、関西圏と四国、九州までの人口密集地や産業拠点を激しい揺れと最大30メートル超の津波が襲う、との想定である。

 作業部会は昨年夏、30都府県で最大約32万人が死亡するとの予測を公表した。それに今回は経済被害などを加えた。

 経済活動の核である生産・サービスの総額は、工場倒壊による生産休止などにより、被災後1年間で約45兆円も落ち込む。国内総生産(GDP)の1割近い。

 作業部会は「1000年に1度以下の頻度でしか起きない」と説明し、極めてまれな災害であることを強調している。過度に不安を抱く必要はないが、東日本大震災も1000年に1度の地震だった。油断は禁物である。

 大切なのは、「減災」へ向け可能な限り対策を講じることだ。今回の被害予測を踏まえ、政府や関係自治体は、防災対策を総点検する必要がある。

 作業部会の試算によると、建物の耐震化などで経済被害は半減できるという。津波による犠牲者も、早期避難で9割減る。

 いずれも、政府、自治体が、すでに取り組んできた対策だ。

 耐震性を欠く建物の改修を加速させる。津波に備えた避難ルートや避難ビルを整備する。まずは、こうした基本的対策が重要だ。

 迅速な救助・救援を可能にし、経済への影響を軽減するためには、幹線道路や港湾、空港など交通網の強化も欠かせない。

 自民、公明両党は野党時代の昨年、補助金で防災施設の耐震化を促進する南海トラフ巨大地震対策特別措置法案を国会に提出したが、衆院解散で廃案となった。

 現行の東南海・南海地震対策推進特措法を強化する内容で、両党は再提出を検討している。国会でしっかり議論してもらいたい。

 南海トラフ巨大地震とは別に、政府は、東海、東南海、南海の各地震が今後30年以内にそれぞれ、88%、70%、60%の高い確率で起きると予測している。

 対策は待ったなしである。

2013年3月19日01時19分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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