HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52199 Content-Type: text/html ETag: "b7c7d-1880-4d7e52ebe40b7" Expires: Thu, 14 Mar 2013 21:21:08 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 14 Mar 2013 21:21:08 GMT Connection: close 習・李体制へ 威圧外交で高まる中国異質論 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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習・李体制へ 威圧外交で高まる中国異質論(3月15日付・読売社説)

 中国共産党の習近平総書記が全国人民代表大会(全人代=国会)で、引退する胡錦濤氏の後任の国家主席に選出された。これで、党、軍のトップと合わせて3権を掌握した。

 15日には、党内序列2位の李克強氏が温家宝氏から首相を引き継ぎ、「習・李体制」が始動する。昨秋以来の権力移行の完成だ。

 世界第2位の経済大国となった中国には、10年前の「胡・温体制」発足時より格段に大きな役割が国際社会で求められている。中国はそのことを自覚し、世界の安定に責任を果たしてもらいたい。

 「中華民族の偉大な復興」を政権目標に掲げる習主席は、2期10年間の任期中、米国と並ぶ超大国の座に迫ろうと、富国強兵路線を突き進む考えだ。

 強大な軍事力を背景に「海洋強国化」を推し進めている。東シナ海や南シナ海で、日本やベトナムなど周辺国に対し、強硬姿勢をとり続けるのは間違いない。

 全人代では、そのための政府の機構改革も決めた。

 国家海洋局の下に、これまで海洋局や農業省、公安省などが個別に所管してきた海上取り締まり活動を一本化した。海洋局の権限を大幅に強化するものだ。その上位機関に、海洋戦略を主導する「国家海洋委員会」を新設する。

 習政権は、尖閣諸島周辺の示威行動を継続・強化する目的で海軍と海洋局の協力を本格化させる見通しだ。尖閣諸島の正確な地図作製のため、測量隊の派遣や標識の設置も検討しているとされる。

 憂慮すべき事態である。日本の主権を侵害する行為を受け入れるわけにはいかない。

 日本は米国と連携して警戒を強め、エスカレートする挑発への備えを固めねばならない。

 機構改革では鉄道省の解体も決まった。独自の警察や裁判所も抱えた「独立王国」には、汚職が絶えない「腐敗の温床」との批判があった。利用者側に立ち、安全を最優先する組織に再生できるか。政権の指導力が問われよう。

 胡・温体制はこの10年、環境に配慮した持続的な経済成長や格差是正などを訴えてきたが、目に見える成果を出せなかった。さらに、チベットなど少数民族の人権抑圧への対応も迫られている。

 習主席は、中国を足元から揺さぶる難題に正面から取り組むべきだ。国民の不満をそらそうと、力ずくの威圧外交によって国内の民族主義を(あお)り続けるのなら、中国への「異質論」や「脅威論」が国際社会で高まるだけである。

2013年3月15日01時38分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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