HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52126 Content-Type: text/html ETag: "b7c7f-183d-4d7e52ec18647" Expires: Thu, 14 Mar 2013 22:21:14 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 14 Mar 2013 22:21:14 GMT Connection: close 衆院選改革案 中小政党の優遇枠は疑問だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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衆院選改革案 中小政党の優遇枠は疑問だ(3月15日付・読売社説)

 中小政党に配慮し、衆院選挙制度改革の早期合意を目指す姿勢は評価できる。だが、民主主義の基本にかかわる問題だけに、拙速は避けたい。

 自民党が、新しい衆院選挙制度の原案をまとめた。

 比例選定数を30減らし、150とする。このうち90は、従来通りドント式で各党に議席を配分し、残り60は、得票数が2位以下の党にだけ配分する。全国11ブロックは8ブロックに再編する。これが自民党案の柱である。

 自民党は当初、中小政党の優遇枠を30とする方針だったが、公明党が拡大を求めたため、60に増やした。比例ブロックの数を減らすのも、中小政党の死票を減らし、議席を増やす狙いがある。

 中小政党への配慮は、昨年の民主、自民、公明3党合意に基づき、今国会中に定数削減を含めた衆院選改革を実現するためには、やむを得ないと考えたのだろう。

 だが、優遇枠の新設は制度上、「1票の価値の平等」という観点から憲法違反の恐れが指摘されている。得票数が1位の党に投票した比例票が、2位以下に投票した票に比べて、優遇枠の分だけ軽く扱われることになるからだ。

 現行の小選挙区比例代表並立制よりも制度が複雑で、有権者に分かりにくいという弊害も看過できない。中小政党に配慮するあまり、制度の合理性にも疑問がある。

 自民党は、優遇枠によって、得票数が1位の党の獲得議席が2位の党と逆転しない仕組みにするというが、そうしようとすれば、制度がさらに複雑になろう。

 そもそも自民党は昨年、中小政党に有利になる「連用制」を一部導入する民主党の改革案について「違憲の恐れがあり、制度が分かりづらい」などと批判し、反対していた経緯がある。

 自民党案について、公明党は前向きな姿勢を示す一方、自民党出身の伊吹衆院議長は優遇枠の「憲法上の問題」を指摘した。

 民主党は、憲法上の疑義に加えて、比例定数の削減幅が不十分だとして、反対している。日本維新の会やみんなの党も、「国民に分かりにくい制度は駄目だ」と、否定的な立場だ。

 選挙制度改革は各党の獲得議席に直結する問題だけに、与野党がそろって賛成する案をまとめることが難しいのは理解できる。

 だが、2位以下の党の優遇枠については、より慎重に議論することが必要だ。中小政党に配慮するのであれば、優遇枠以外の方法を真剣に検討すべきだろう。

2013年3月15日01時38分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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