HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Thu, 14 Mar 2013 22:21:07 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:海底メタン 眠る未来を掘り出そう:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

海底メタン 眠る未来を掘り出そう

 「燃える氷」と呼ばれ、海底に埋まる次世代資源メタンハイドレートから、国が天然ガスの取り出しに初めて成功した。高いコストが課題となるが、国産エネルギー資源の早期活用を実現したい。

 メタンハイドレートは、天然ガスの主成分のメタンと水が低温高圧の環境で結合した氷状の物質。今回、試験採取が行われている愛知県・三重県沖には、国内の天然ガス消費量の十年分以上が埋蔵され、これを含め日本近海の海底には百年分に当たる量が埋まっているとの推計もある。

 日本が、メタンハイドレートの開発に成功すれば、将来の経済発展やエネルギーの安全保障につながる大きなチャンスとなる。

 国がこれまで、原発の使用済み燃料を再処理して使う核燃料サイクルにこだわってきたのも、国産のエネルギー資源を確保したいという悲願があったからだ。

 核燃料サイクルが行き詰まり、原発事故を転換点に、新たなエネルギー政策を模索する今、再生可能エネルギーとともに、メタンハイドレートの存在は重みを増している。

 ただ、国は二〇一八年度までに採取の技術の確立を目指す方針だが、商業化はまだその先。実現に向けては高いコストが最大の課題となる。

 試験採取では、深さ千メートルの海底にパイプラインを通して、さらに三百メートルの井戸を掘って水をくみ上げ、メタンハイドレート層の圧力を下げて水に分解して取り出す技術を用いた。生産コストは、日本が輸入している割高な液化天然ガス(LNG)の少なくとも二〜三倍とされる。商業化は困難を伴うことが予想されるが、せっかく有望な資源が目の前の海に眠っているのだから、挑戦する価値は十分ある。

 鍵を握るのは技術革新だ。

 米国ではかつては採掘が困難とされた天然ガス「シェールガス」が、技術の進歩で採掘できるようになり、国内での天然ガスの生産量が大幅に増え、安価になった。その結果、経済を活気づかせ、中東へのエネルギー依存度も低下させる変化をもたらし「シェールガス革命」と呼ばれている。

 メタンハイドレート開発も、もちろん同様の可能性がある。新しい技術の挑戦はレアアース(希土類)など他の海洋資源開発にもつながるだろう。産官学の協力で一つ一つ課題を克服し、一日でも早く、眠れる海洋資源を日本の未来に生かしたい。

 

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