HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 75407 Content-Type: text/html ETag: "189818a-3102-a379e540" Cache-Control: max-age=1 Expires: Thu, 14 Mar 2013 21:21:02 GMT Date: Thu, 14 Mar 2013 21:21:01 GMT Connection: close 朝日新聞デジタル:社説

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後見と選挙権―民主主義が問われた

自分を守り、助けてくれる仕組みだと聞いていたのに、投票に行けなくなってしまった。選挙権を返してほしい――。成年後見制度を利用して後見人をつけたダウン症の女性がそう訴えて[記事全文]

若者の自殺―三下り半は書かせない

日本は若者が生きづらい社会になっていないか。昨年の自殺者は15年ぶりに3万人を切った。20代も前年より減ったが、人口あたりの自殺率を98年と比べると2割も高い。若い世代[記事全文]

後見と選挙権―民主主義が問われた

 自分を守り、助けてくれる仕組みだと聞いていたのに、投票に行けなくなってしまった。選挙権を返してほしい――。

 成年後見制度を利用して後見人をつけたダウン症の女性がそう訴えていた裁判で、東京地裁は「後見を受けている人には選挙権を与えないと定めた公職選挙法は、参政権を保障した憲法に違反する」と述べた。

 得心のゆく判断である。

 このシステムは、法律上の権利を一律にとりあげる「禁治産制度」にかわって、2000年4月に施行された。

 病気や高齢で判断力の衰えた人について、残された能力に応じ、本人がやるもの、他人に委ねるものを柔軟に区分けする。そうやってハンディを負う人も自分のことはなるべく自分で決め、ふつうの生活を送れる社会にする。それが目的だった。

 なのに、実際に後見される立場になると、民主主義社会を築いていくうえでもっとも大切な権利である選挙権を、そっくり奪われる。政治に自分の声を届ける道をふさがれ、事実上、主権者の地位を追われる。明らかにおかしな話だ。

 選挙権の扱いは、法律をつくる段階でも議論になった。

 禁治産者は投票することはできなかったが、法務省は制度の切りかえを機に、この制限をなくすよう唱えた。だが旧自治省の反対で実現しなかった。

 今回の裁判でも、国側は「判断力に欠ける人が選挙権をもつと、不正な働きかけを受けたり第三者に悪用されたりするおそれがある」と主張した。

 そういうケースがないとはいわない。しかし局所的な不公正を気にして、より重要な「全体としての公正」を見ていないのが、いまの規定ではないか。

 判決が「不公正・不適正な投票が相当に高い頻度で行われ、国政選挙の結果に影響を及ぼすといえるだけの事情はない」と指摘し、国側の言い分を退けたのはもっともである。

 公選法にこのような問題があることを伝え、改善を強く訴えてこなかったメディアも反省しなければならない。似たようなかたちで、障害を理由に、資格の取得や公共施設の利用が制限される例はある。時代に即した不断の見直しが必要だろう。

 原告は制度の矛盾をつくと同時に、選挙権があるのを当たり前と受けとめている私たちに、投票を通じて政治に参加する大切さを改めて教えてくれた。

 民主主義とは何か。社会とつながるとはどういうことか。それらを考えるときに、必ず立ち返るべき裁判となった。

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若者の自殺―三下り半は書かせない

 日本は若者が生きづらい社会になっていないか。

 昨年の自殺者は15年ぶりに3万人を切った。20代も前年より減ったが、人口あたりの自殺率を98年と比べると2割も高い。若い世代の死因の1位が自殺なのは先進7カ国で日本だけだ。

 いちど落ちたらはい上がれそうもない社会への、若者からの三下り半(離縁状)。自殺を防ぐNPO「ライフリンク」の清水康之代表はそう見る。

 若者から見限られる社会なんて悔しいではないか。つらい時にも支えてくれる人はいるし、何度でもやり直しは利く。そう実感できる手立てを講じ、三下り半を引っ込めてもらおう。

 自殺には世代や職業などによって特徴がある。ライフリンクが遺族523人から聞き取った調査はそう教えてくれる。

 10〜20代の女性は未遂歴のある人が3人に2人と多い。また大半は医療機関へ相談に訪れていた。若い男性は未遂は少ないが相談には半数が訪れていた。

 裏返せば、支援につなげる糸口はあるともいえる。ただ、医師と話せる時間は短く、通院も間があきがちだ。医師は守秘義務から、外との連携が難しい。

 秋田市のNPOが営む「ユックリン」はヒントになる。心を病む患者どうしが話し合える場だ。医者以外の話し相手と居場所ができて、悩んでいるのは自分だけではないと思える効果は大きい。本人に病院や担当医の名を書いてもらっており、何かあれば医師と連絡を取れる。

 医療機関のほかにも官民の相談機関はたくさんある。が、聞き取り調査では若い世代で自殺前に訪れた人は少なかった。相談窓口を検索できるサイトもある。一人でも多くの危険をつかむため、周知を進めたい。

 就職失敗による自殺も気になる。政府統計では、10〜20代は5年前の2・6倍だ。

 幼い頃からいじめられないようにキャラを作り、就活の前には履歴書に書けるボランティアを探し回る。そうやって周りの目を気にして生きてきたあげく何十社も断られ、自分を丸ごと否定されたと思ってしまう。多くの若者と接してきた清水さんはそんな心理を見て取る。

 やるべきことは多い。

 大企業か非正規かの二者択一ではない、多様な働き方ができる社会に変えていくこと。

 たとえば、借金を抱えてもやり直せる債務整理という方法がある。そんな具体的な知識を学校で学べるようにすること。

 転んでもかまわない。もう一度立てばいい。そう思えるのは杖があってこそだ。

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