HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52074 Content-Type: text/html ETag: "d0ca7-1878-4d7583b3a71c7" Expires: Fri, 08 Mar 2013 01:21:08 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 08 Mar 2013 01:21:08 GMT Connection: close シャープ再建 サムスンの出資に頼る苦渋策 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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シャープ再建 サムスンの出資に頼る苦渋策(3月8日付・読売社説)

 経営再建中のシャープが、長年のライバル、韓国サムスン電子との資本提携で生き残りを目指すことになった。

 財務基盤の強化へ、一歩前進だが、先行きは不透明である。提携をテコにした経営改革のスピードが問われよう。

 合意によると、サムスンがシャープに103億円を出資し、出資比率は3%になる見通しだ。

 シャープは、サムスンにスマートフォン(高機能携帯電話)やテレビ向けの液晶パネルを供給して販売を回復し、収益力の向上を狙う。サムスンはパネルを安定調達できる利点に着目した。

 過剰投資の失敗と液晶パネルの販売不振などが響き、シャープは2013年3月期に2期連続で巨額赤字を計上する見込みだ。

 シャープは1年前、台湾の製造大手、鴻海(ホンハイ)精密工業から出資を受けることで合意した。しかし、条件見直しを求める鴻海との再交渉が暗礁に乗り上げ、資金繰りが不安視されていた。

 交渉の展望が見えない中で、サムスンに出資を求めるという苦渋の決断を下したのだろう。

 日韓の電機メーカーは1990年代から、半導体、薄型テレビ、液晶パネル、リチウムイオン電池などで激しく競争してきた。

 当初は技術力に勝る日本勢が優勢だったが、近年はサムスンなどが急成長して立場が逆転した。日本企業が韓国側から出資を受け入れるという異例の事態は、勢いの差を象徴している。

 今後の焦点は、シャープがサムスンとの提携効果を生かし、再建を加速できるかどうかだ。

 まず、液晶パネルの販路拡大で工場の稼働率を上げ、事業を黒字化することが求められよう。

 シャープは従来、米アップルのスマートフォン向けの中小型パネルを生産し、鴻海がアップル製品を受託製造する関係にある。

 シャープは、アップルと争うサムスンにも中小型パネルを供給することになるが、「脱アップル依存」戦略の成否が注目される。

 巨額の社債償還を今秋に控えたシャープの資金基盤はまだ弱い。一層の財務改善も急務だ。

 懸念されるのは、シャープの最先端技術の流出である。サムスンとの提携により、技術提供を要求されないか。日本のもの作りの基盤を守る対策も必要である。

 パナソニックなど日本の家電各社は経営立て直しの途上にある。産業競争力強化を重視する政府と歩調を合わせ、各社が巻き返し策を急いでもらいたい。

2013年3月8日01時30分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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