HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52034 Content-Type: text/html ETag: "5e46ee-183f-4d7583b3fa161" Expires: Fri, 08 Mar 2013 03:21:12 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 08 Mar 2013 03:21:12 GMT Connection: close 被災地の鉄道 街づくりと一体で復旧したい : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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被災地の鉄道 街づくりと一体で復旧したい(3月8日付・読売社説)

 生活や観光を支える被災地の鉄道をどう再建するのか。東日本大震災からまもなく2年を迎える今も重い課題だ。

 東北沿岸部の鉄道は地震や津波で甚大な被害を受けた。JR東日本と岩手県の第3セクターである三陸鉄道の8路線、約300キロが運休したままだ。

 JR石巻線や常磐線の一部がようやく今月中に復旧し、三陸鉄道も来年4月に全線開通する。

 だが、その他の多くの路線で完全復旧の見通しが立たない。

 最大の問題は、再建費用だ。

 国土交通省の試算では、被災区間が長いJR山田線(岩手県)、大船渡線(岩手・宮城県)、気仙沼線(宮城県)は、合わせて1500億円超にのぼる。

 土地のかさあげや内陸部へのルート変更など従来の復旧にはない工事が必要だからだ。

 JRは暫定措置として、線路跡の専用道にバスを走らせるバス高速輸送システム(BRT)を昨年8月、気仙沼線に導入した。大船渡線も今月から運行開始した。

 BRTは鉄道に比べて建設費や維持費が安い。気仙沼線は、鉄道時代より運行本数が3倍に増え、高校生の通学や高齢者の通院などに利用されている。

 しかし、乗客数は1日300人弱で、鉄道の3分の1ほどだ。被災した住民が沿線外へ避難し、観光客もほとんど使わない。

 専用道は短く、大半は一般道を走るため、朝夕は渋滞に巻き込まれる。鉄道より時間がかかり、乗り継ぎの不便さも利用客離れにつながっているのだろう。

 山田線は、沿線自治体がBRT計画を拒否した。すでに導入した地域も将来の鉄道復旧を条件とした。「街の活性化にはあくまで鉄道が必要」と主張する。

 各線とも沿線人口の減少で、もともと利用客の少ない不採算路線だった。マイカーや高速バス利用が定着し、鉄路が復活しても従来以上の乗客数を確保できるか疑問視する声は少なくない。

 JRと自治体は、鉄道復旧とBRT導入の長所と課題を比較し、街づくりをどのように進めるのか一体で検討すべきだ。

 被災地の復興計画に最適な公共交通を選択してほしい。

 現行制度では、赤字の三陸鉄道は、復旧費のほぼ全額が国費で手当てされるが、黒字会社であるJRは補助を受けられない。

 大震災からの復旧という特殊性を考慮すれば、工事費の一部に復興予算を充てるなど、鉄道再建の公的支援も検討課題となろう。

2013年3月8日01時30分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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