HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 07 Mar 2013 20:21:11 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: かつお節を削っていて、ぎっくり腰になったことがある。それ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 かつお節を削っていて、ぎっくり腰になったことがある。それぐらい、だしを取ることが好きだと以前、小欄に書いたところ、おいしいかつお節ができるカツオの捕り方を教えてくださる方がいた▼かつお節のうま味成分のイノシン酸は、死後硬直によって筋肉を動かすエネルギー物質ATPが変化して生じる。ごっそり捕獲する巻き網漁では網の中で押しつぶされる。暴れて死ぬ時にATPが消費され、その成分が少なくなるという▼生きたまま急速に冷凍したカツオもかつお節には向かない。刺し身やたたきでは鮮度が良くておいしいが、死後硬直のないまま船で冷凍すると、うま味成分は生まれないからだ▼うま味たっぷりのかつお節の材料は、日本近海で一本釣りしたカツオが最適らしい。ところが、近海のカツオ漁は今、厳しい状況にある。原因と考えられているのは、中西部太平洋の漁場で繰り広げられているカツオ漁だ▼漁獲量はこの二十年で倍に。日本や韓国だけでなく、台湾や中国の大型巻き網漁も参入して一網打尽にしてしまうため、回遊ルートの北の端である日本沿岸での魚影が薄くなった可能性があるという▼近所のスーパーに早くも奄美産のカツオが並んでいた。鹿児島や宮崎県では二月半ばから、水揚げは異例なほど順調で、昨年の半値で取引されている。資源の枯渇を憂いながらの初鰹(はつがつお)である。

 

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