HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52251 Content-Type: text/html ETag: "a1986-184d-4d743fe603621" Expires: Thu, 07 Mar 2013 00:21:07 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 07 Mar 2013 00:21:07 GMT Connection: close 新公取委員長 「市場の番人」が担う重い責任 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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新公取委員長 「市場の番人」が担う重い責任(3月7日付・読売社説)

 公正な競争を実現する「市場の番人」のトップが約半年不在という異常事態が解消されたことを歓迎したい。

 衆参両院の同意を経て公正取引委員会の新委員長に杉本和行元財務次官が就任した。

 竹島一彦前委員長が昨年9月に退任後、野田内閣は後任人事を示せず、空席が続いていた。

 公取委の機能不全を放置したのは無責任と言うしかない。安倍内閣が示した人事案に衆参両院が同意したのは妥当である。

 民主党は事前報道を理由に一度は人事案の提示を拒否し、混乱を招いた。与野党は公取委員長人事を契機に、国会同意人事の正常化を定着させなければならない。

 公取委は、企業の競争力強化を目指す安倍政権の「アベノミクス」で重要な役割を担う。

 杉本氏は就任記者会見で、「公正な自由競争を確保する。独占禁止法違反には厳正に対処する」と述べた。競争政策の司令塔として指導力を発揮してもらいたい。

 公取委は、竹島前委員長時代の10年間に機能を強化した。

 違反企業の課徴金額を引き上げたほか、違反行為を自己申告した企業の課徴金を減免する制度を導入し、相次いで大型事件を摘発する成果を上げた。

 激化する国際競争を踏まえ、企業の統合審査も迅速化した。

 企業競争力をいかに強化し、経済活性化につなげるか。「杉本公取委」の責任は重い。

 当面の課題は、2014年と15年の消費税率引き上げ時に、中小企業が増税分を円滑に価格転嫁できる環境をつくることだ。大企業が優越的地位を乱用し、立場の弱い下請け企業に増税分を負担させる動きを防がねばならない。

 政府は今国会に、価格転嫁を拒んだ業者に公取委が勧告し、公表する仕組みを盛り込んだ特別措置法案を提出する。公取委は監視機能を十分に発揮すべきである。

 新聞や書籍などの小売価格を発行会社が指定できる再販売価格維持制度について、杉本氏は国会での所信聴取で「見直しは考えていない」と明言した。

 同一の新聞なら全国どこでも同じ価格で購読できる「特殊指定」も撤廃不要との考えを示した。

 再販制度や特殊指定は、新聞の戸別配達システムを支え、活字文化振興に重要な役割を果たす。杉本氏の発言は評価できる。

 競争原理の観点だけで判断すべきでない問題もある。公取委は、事案の実態に十分配慮するバランス感覚も求められよう。

2013年3月7日01時21分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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