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きわめてオーソドックスな判決、というべきだろう。一票の格差が最大で2・43倍あった昨年12月の衆院選について、東京高裁が「憲法がもとめている投票価値の平等に反する選挙だ[記事全文]
原発に関連する審議会から、脱原発を主張してきた委員がはずれる人事が相次いだ。エネルギー基本計画をまとめる経済産業省の総合資源エネルギー調査会と、環境政策全般を議論する環[記事全文]
きわめてオーソドックスな判決、というべきだろう。
一票の格差が最大で2・43倍あった昨年12月の衆院選について、東京高裁が「憲法がもとめている投票価値の平等に反する選挙だった」と判断した。
しかし、衆院の解散直前に格差を縮めるための「0増5減」の法改正が行われた事情などをふまえ、選挙を無効とすることまではしないという、いわゆる事情判決となっている。
この問題にとりくむ弁護士はもちろん、憲法や行政法の学者からも「選挙無効にふみきる可能性もありうる」との声が出ていた。判決を知って、ほっとした議員もいるだろう。
だが喜んではいられない。
衆院にいるのは、「違憲の選挙」で選ばれた「違憲の議員」ということになる。正統性を欠く国会そして内閣が、国民に対して真の指導力を発揮することができるのか。壁につきあたる日が来るかもしれない。
0増5減法は、最高裁が「一票の格差は憲法に違反する状態にある」と判断してから1年8カ月後に、ようやく成立した。区割り作業は間に合わず、衆院選は元の定数で行われた。
この「1年8カ月」の評価が裁判の大きな争点になった。被告である選挙管理委員会側は是正のむずかしさを訴えたが、判決は認めなかった。
やるべきことは明確で、作業も困難ではない。長い間ただされなかったのは、政党間に意見の対立があった定数削減問題を同時に決着させようとしたからだ。格差の是正を先行していれば、時間切れという事態にはならなかった――との判断だ。
もっともな指摘である。
政治家が自分や所属する政党の利益をまず考え、それを守るために事態をわざわざ複雑にして、合意形成を遠のかせる。調整にあたる当人は仕事をした気になっているかもしれないが、そこにあるのは、ただの怠慢と保身である。
判決は、政治家のそうした立ち居振る舞いを批判し、なにより国民の方を向いて仕事をせよと警告を発した。そう評価することができるだろう。
定数訴訟は全国で争われている。きのうを手始めに、今月27日までに各地の高裁やその支部で判決が言いわたされる。
それぞれの裁判所から、「1年8カ月」や「0増5減」をめぐって、どのような見解が示され、最終審である最高裁の判断に結実していくのか。司法は期待される役割を果たすのか。
主権者として、重大な関心をもって見つめてゆきたい。
原発に関連する審議会から、脱原発を主張してきた委員がはずれる人事が相次いだ。
エネルギー基本計画をまとめる経済産業省の総合資源エネルギー調査会と、環境政策全般を議論する環境省の中央環境審議会である。
全体の人数を減らしたためという。だが、安倍政権は民主党政権の「原発ゼロ」を白紙に戻す方針を掲げるだけに、脱原発派が邪魔だったのではないかと疑いたくなる。
メンバーを変えて議論を導こうとしているなら、あまりに古い発想である。
審議会をめぐっては、長らく「政策誘導の隠れみの」「縦割り行政を助長している」などの弊害が指摘されてきた。
このため政府は99年、審議会の整理・合理化計画をまとめ、数や機能を絞り込むことを閣議決定した。ただ、その後も審議会のあり方については議論が絶えない。
原発・エネルギー政策で言えば、脱原発派と原発推進派の数をそろえればいいというものでもない。
関係する組織の利害を優先して、異なる意見に耳を傾けることなく、決まった主張を繰り返す。あるいは、意見の妥当性を検証するためのデータも出さずに思想信条だけを述べる。
これでは、世論が二分する問題について議論を深め、現実的な政策へと反映させていく場にならない。結局、事務局である役所が都合良く結論をまとめて終わり、となりかねない。
委員に求められるのは、どの立ち位置かではなく、その政策が一部の人の権益確保に陥っていないか、議論に漏れがないかを目配りし、批判的にチェックする能力だろう。
あるいは、議論の土台となる客観的なデータを専門的な見地からまとめる場合もある。民主党政権時代には、電源ごとのコストを検証する委員会や電力需給の見通しを精査する委員会が設けられ、成果を上げた。
当事者や利害関係者は、オブザーバーとして参加する。政策の実現可能性や影響の度合いについて意見を述べ、根拠となるデータを提出する。
プロセスはすべて公開とし、誰もが後から検証できるようにする。節目では国民的議論の場を設け、有権者の意思を確認することも必要だ。
自民党は、民主党政権下の審議会運営を見直しているが、旧来型に戻っては意味がない。
政策論議への信頼性や安心を高めるために何が必要か、しっかり考えてほしい。