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この朝を、ひな人形と迎えたお宅も多かろう。女の子の幸せを祈る桃の節句は、公家から武家、庶民へと広がったという。東京・三井記念美術館の「三井家のおひなさま」展で、豪商の家系に伝わるひな飾りを見た▼17世紀の伊勢商人を祖とする三井家は、江戸に出した呉服店と両替商から財閥を築き上げた。代々の夫人や娘たちが愛(め)でた段飾りには、四畳半を埋めるほどのものもある▼名のある家から三井各家に嫁ぎ、母となり、娘たちを名家に嫁がせる。一族内での婚姻も少なくない。始終を見守った人形の、雅(みやび)だがどこか悲しげな白面(はくめん)に向かい、ふと思った。今どき女性の幸せとは何だろう▼内閣府によると、「夫は外で働き、妻は家を守るべし」と考える人が全年代で増えている。特に20代は男が3年前より21ポイント増の56%、女も16ポイント増の44%と、30〜50代を上回る支持率だ。若者の保守化というより、妻も働かないと暮らせない現実の下で、漠たる憧れが表れたらしい▼フルタイム労働の給与差は縮まったとはいえ、いまだ女性は男性の7割。昇進などで壁を感じ、専業主婦に「転職」を図る人もいる。「女の老後が貧しいのは、生涯にわたる不利益の総決算」と喝破したのは評論家の樋口恵子氏だ。世を代えて、桃花に祝された頃からやり直したい人もいよう▼〈結婚は夢の続きやひな祭り〉夏目雅子。少子化の日本は、女性と高齢者の力を生かすほかない。きょう一日、家庭と職場の両方で女性が輝ける社会を考えてみたい。