HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 02 Mar 2013 01:21:10 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: ナチスが台頭し、欧州にきな臭さが漂い始めたころ、英政府は…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 ナチスが台頭し、欧州にきな臭さが漂い始めたころ、英政府は、ある新兵器の開発を考えた。「殺人光線」だ▼それがあれば、ドイツの爆撃機も英国の空をわが物顔では飛べまい。「九十メートル先の羊を殺せる光線の発明者には千ポンドの報奨を出す」と科学者を督励したが、どうにもうまくいかない▼困った英政府が相談したのが、蒸気機関の発明者ワットの子孫ワトソンワットだった。彼は、殺人光線より電波を使って敵機を察知する技術の方が実現性に富むと提案した。そうして開発されたレーダーの力を借り、英国はドイツとの空中戦を制した(クローウェル著『戦争と科学者』)▼そのレーダーでも探知しにくい米国の最新鋭ステルス戦闘機F35のために、日本製部品が輸出されることになった。平和国家として武器や関連技術の輸出は「武器輸出三原則」で慎んできたが、安倍政権はこの原則を緩めるという▼部品が使われるのは、国連憲章を守る国に限定されるから問題ない−と、政府は説明する。が、周辺国への空爆などでたびたび国連憲章違反が指摘されるイスラエルも、F35を買う予定だ▼レーダーを開発したワトソンワットは後年、自分が開発した技術を使った速度違反取り締まりで捕まり、「恩を仇(あだ)で返された」と嘆いた。日本自慢の技術が中東で殺りくに使われれば、日本を「仇(かたき)」と憎む人も出てこよう。

 

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