HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 27 Feb 2013 22:21:08 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:イタリア総選挙 同じ失敗繰り返すのか:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

イタリア総選挙 同じ失敗繰り返すのか

 イタリア総選挙は、モンティ政権の財政緊縮策に厳しい審判を下す結果となった。欧州信用不安再燃を回避するためにも、政治空白を長引かせるようなことがあってはならない。

 ギリシャに次いで財政危機に晒(さら)され国債金利が急騰、スペインと並び債務不履行の瀬戸際に追い込まれたのは僅(わず)か一年半ほど前だ。

 その危機を乗り切ったのは、政治家の経験がない国際金融のプロ、モンティ氏をあえて首相に迎え、党派性を超えた緊縮政策を敢行する政治意思を示したからだ。

 モンティ政権は、退職年齢や年金支給年齢の引き上げ、不動産増税などの財政再建政策を実行。欧州連合(EU)によるユーロ救済にも沿い、金融市場の信認回復に通じるものだったが、そのモンティ氏の中道連合は惨敗した。

 条件付きながら緊縮財政継続を掲げた民主党ベルサーニ書記長率いる中道左派連合は、僅差で下院の過半数を制する票を得たものの、上院では過半数獲得に至らず、安定政権への道は今後の連立交渉に委ねられることになった。

 買春事件や汚職疑惑など、醜聞まみれだったベルルスコーニ氏の中道右派連合は、財政緊縮策を批判し不動産税還付をうたうなど、大衆迎合的戦術で脱緊縮への庶民感情をとらえるのに成功した。

 明確な勝者がいたとすれば、コメディアンのグリッロ氏が率いる「五つ星運動」だろう。既成政治家への不満を吸い上げ、いきなり上下両院で第三勢力の地位を確保した。主要メディアに頼らずネット発信を基本とし、ユーロ圏離脱を問う国民投票、反腐敗、環境重視を掲げ若い世代、女性票を引きつけるパターンは、他の欧州諸国でも広がる傾向だ。

 欧州の金融危機は、新財政条約の合意、欧州安定メカニズム(ESM)発足などで一応の安定を回復しているが、加盟国で政治的混乱が深まれば、いつ国際的な信用不安の再燃につながってもおかしくない脆弱(ぜいじゃく)さを脱していない。

 ギリシャとユーロ圏第三位の経済大国イタリアでは、同じ政局の混乱でも持つ意味合いは全く違う。緊縮政策への批判を受け、EUは域内総生産(GDP)の1%相当を景気刺激にあてる政策でも合意しているはずだ。政党指導者には、欧州の観点に立った責任ある議論を望みたい。

 政治は政治家抜きで初めてまともに機能する−。不名誉な前例をイタリアがつくってはなるまい。

 

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