HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 26 Feb 2013 20:21:08 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:日本とTPP 米中を結ぶ役割担え:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

日本とTPP 米中を結ぶ役割担え

 日本も環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加する見通しとなった。安倍晋三首相が日米首脳会談を受け「関税撤廃は交渉の前提ではない」と総括したためだ。米中を結ぶ役割を担う好機でもある。

 コメなどの関税が撤廃されると日本農業は死活的状況にさらされかねない。安倍首相は「聖域なき関税撤廃が前提ならばTPPには参加しない」と国民に約束しており、例外扱いは首脳会談での重い課題だった。

 とはいっても米主導の交渉は関税の原則撤廃をはじめ、高水準のルールを目標にシンガポールやペルー、豪州など十一カ国で既に始まっている。オバマ大統領としては交渉国の意向を度外視して日本の求めに応じることは難しい。

 その日米の隔たりを巧みに埋めたのがTPPに関する共同声明だった。声明は「すべての物品が交渉対象になる」と米国の面子(めんつ)を立てる一方で、「最終的な結果は交渉で決まる」と日本が求める例外扱いの可能性もにじませた。

 米国には豪州との自由貿易協定(FTA)で砂糖などを例外にした過去がある。利害得失をぶつけ合いながら折り合うのが貿易交渉だ。首相に攻めの交渉を貫くよう求めたい。農家の不安を払拭(ふっしょく)するため、農業を成長産業に育てる誘導策も着実に具体化してほしい。

 ルールづくりでは世界経済の覇権をいかに牛耳るかという主要国の思惑も見据えるべきだろう。米国と欧州連合(EU)が交渉入りで合意したFTAからその狙いが見えてくる。国内総生産が世界の半分を占める米とEUは、合意したルールを米欧にとどめず、世界共通の基準として広く定着させることに重きを置いている。

 新興国、とりわけ台頭著しい中国にルールづくりの主導権を奪われないよう、連携して中国を同じ土俵に引き入れる戦略だ。

 米国のTPP推進にも「先進国対新興国」の力学が潜む。その表れが環太平洋諸国を米国の傘下に収める多数派工作であり、オバマ氏の日本に対する参加期待だ。日本は参加すれば、東南アジア諸国連合(ASEAN)に日中韓、インドなどの六カ国を加えた経済連携交渉と同時並行的に進めることになる。

 二つの交渉は牽制(けんせい)しあう米中の間を日本が取り持つ場にもなる。成長が続く中国は重要な市場であり、もはや無視できない。日本は尖閣問題などで冷静さを失うことなく、新ルールづくりの潤滑油役も積極的に引き受けるべきだ。

 

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