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ひとつの花を眺める心も、国によって違う。朝に開いて夕方しおれる槿(むくげ)は、日本では儚(はかな)さの象徴とされる。だが、お隣の韓国の人々は、苦難をしのいで発展していく民族や国の姿をこの花に託した。知られるように国花である▼一輪一輪は短命でも、一つの木として見れば次々に咲いて秋まで果てることがない。だから韓国では無窮花(ムグンファ)と呼ぶ。かの国の朴正熙(パクチョンヒ)元大統領は、長女の名前にその「槿」を入れた。字典と首っ引きで選んだそうだ。きのう就任した朴槿恵(パククネ)大統領(61)である▼親子2代も女性も、韓国大統領で初になる。むろん七光り抜きには語れない。だが父母を殺され涙をからした半生は、乳母(おんば)日傘(ひがさ)のひ弱さとは無縁らしい。天下国家は男の仕事、とされがちな儒教文化圏で殻を破った強靱(きょうじん)さはなかなかのものだ▼世論調査の支持率はあまり高くないようだが、ものは考えようでもある。期待はいつも失望と道連れだ。前任の李明博(イミョンバク)氏は期待が大きかったぶん散々で、最後は竹島上陸の愚挙で存在を叫ぶしかなかった。貧して鈍した感が強い▼日韓関係は呪文のように「未来志向」が言われながら、思うように進まない。暖まったかと思えば、寒の戻りの冷え込みが繰り返されてきた。歴史と領土の問題で、新大統領も甘い友ではありえまい▼槿に戻れば、韓国の人は日本の植民地支配をしのいだ歴史を、この花に重ねたとも聞く。海峡の波は高い。行き交う言葉が日韓新政権のもとで未来に向くか、どうか。よく見守りたい。