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快晴とはいえ気温5度。北国の人には笑われそうだが、氷で頬(ほお)をなでられるようなビル風である。超高層が青天を突く西新宿の都庁前から、3万6千人が街へと走り出す。震えながら思った。東京マラソンは、見るより出るに限ると▼きのうの大会は、7回目にして初めて「世界のメジャー」として催された。ボストンやロンドン、五輪など8レースの成績を2年ずつ集計、男女それぞれの首位に50万ドル(約4700万円)が贈られる▼賞金が全てではないにせよ、大会の魅力は増し、男子には2時間4分台の記録を持つ猛者4人が出た。結果は大会新記録にとどまったものの、生中継する国が増え、五輪招致に動く東京にはスポーツ都市を宣伝する機会ともなった▼地下鉄で銀座に先回りした。沿道の鳴り物と声援はひとしおだ。マラソン大会は、寒風を切り裂くランナーと、彼らに熱風を送る人垣の合作だと知る。東京の「もてなし心」は、柔道の暴力沙汰、五輪のレスリング外しに抗する一矢になるかもしれない。お家芸の暗雲はいくらか晴れようか▼晴れといえば、東京から富士山を望める日が半世紀で5倍に増え、ここ2年は130日前後に達しているそうだ。数々の公害対策や排ガス規制で大気が澄んだ上、乾燥が進んで霧が出にくくなったらしい▼都市の魅力は、積もる歴史と集う人々、そこに満ちる空気が醸し出す。一都民として、五輪に金を使うのなら……とも思うのだが、なるほど東京には、祝祭に足る器量はある。