HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52036 Content-Type: text/html ETag: "16853c-18bf-4d652adfa2c8c" Expires: Sat, 23 Feb 2013 22:21:08 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 23 Feb 2013 22:21:08 GMT Connection: close 北方領土交渉 「仕切り直し」へ戦略練り直せ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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北方領土交渉 「仕切り直し」へ戦略練り直せ(2月23日付・読売社説)

 日露首脳会談への地ならしという狙いは達成された。具体的に交渉をどう進めるか、安倍外交の戦略が問われよう。

 森喜朗元首相が、ロシアのプーチン大統領とモスクワのクレムリンで会談した。

 プーチン氏は、北方領土問題が障害となり、日露両国が平和条約をいまだ締結していないことを「異常な事態」と表現した。

 柔道の試合場をメモ用紙に描いて、「両国は試合場の端にいてプレーが出来ない。真ん中に引っ張ってきてそこから始めるということだ」とも語り、交渉を仕切り直す意向を明らかにした。

 メドベージェフ前大統領は自ら国後島を訪問し、「我々の古来の土地だ。一寸たりとも渡さない」と強硬な姿勢を見せつけた。

 安倍首相は、領土問題に前向きなプーチン氏のシグナルをきちんと受け止めなければなるまい。その真意を見極めつつ、粘り強く交渉に当たってもらいたい。

 森氏はプーチン氏との会談で、北方領土問題について昨年3月「引き分け」を目指すと発言したことの意味を(ただ)した。プーチン氏は「勝ち負けなしの解決だ」と述べるにとどめたという。

 歯舞、色丹2島の引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言が、領土交渉におけるプーチン氏の立場の原点だ。ロシアは近年、国後、択捉両島などの基盤整備に予算を投入し、北方領土の「ロシア化」を着々と進めている。

 森氏が先月、テレビ番組で択捉島以外の3島の先行返還に言及したのは、現実的な解決を急ぐべきだと考えるからだろう。

 麻生副総理も外相時代に4島全体の面積を2等分する「面積等分論」に言及したことがある。

 だが、安倍、プーチン両政権による交渉はこれからである。交渉前から譲歩姿勢を示せば一層つけこまれかねない。従来通り4島返還を掲げて交渉に臨むべきだ。

 プーチン氏は、石油や天然ガスなど、エネルギー分野での日露協力の拡大に強い期待感を示した。広大な極東で日本の農業技術を生かしたいとも語った。

 日本の経済力や技術力は、極東・シベリア開発に力を入れるロシアにとって魅力だろう。領土問題が解決すれば、日露両国がともに利益を享受できる分野は一段と広がるはずだ。経済・軍事面で膨張する中国への牽制(けんせい)ともなる。

 日露協力の戦略的重要性について共通認識を深めていくことが大切だ。それが、北方領土問題解決への環境整備につながろう。

2013年2月23日01時27分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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