HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 23 Feb 2013 21:21:04 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:65歳雇用義務化 若者へしわ寄せするな:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

65歳雇用義務化 若者へしわ寄せするな

 企業に希望者全員の六十五歳までの雇用を義務づける改正高年齢者雇用安定法が四月から始まる。高齢化が進む中、働きたい人の雇用延長は望ましいが、若者らにしわ寄せが及ぶようでは困る。

 そもそもは厚生年金の支給開始年齢(報酬比例部分)が六十歳から六十五歳へ段階的に引き上げられるのに対応する措置だ。現在は六十歳定年が多く、年金支給が遅れれば、給与も年金ももらえない「空白期間」が生じてしまう。それを回避するねらいである。いわば、国の年金設計のミスを、企業に強制的にツケ回す制度といえる。

 企業にとって人件費が増えるのは確かだが、負担増ばかりが強調されすぎてはいないか。考え方次第でメリットも大きいはずだ。

 希望者全員の雇用義務は、最初の三年間は六十一歳まで、その後三年ごとに一歳ずつ上がり、六十五歳までの希望者全員となるのは二〇二五年四月からになる。みずほ総研の試算によると、二五年度の全企業の人件費は現行より一・四兆円増にとどまるという。これは「六十歳以降も継続雇用を希望する人」の割合が現在の75%から82%に増え、継続雇用後の賃金は定年前の六割と仮定した場合だ。

 これに対し、経団連は継続雇用の比率は90%に高まり、人件費増から若者の採用抑制などに動かざるを得ないと影響の大きさばかりを強調する。

 少子高齢化が進む中で、意欲や能力のある人の雇用延長は時代の要請である。企業にとってシニア層の経験や技術の伝承は大きな財産となるはずで、それを生かす発想こそが求められる。すでに六十歳定年制を廃止した都内の企業経営者は「六十歳で辞め同業他社に移られたら、それこそ打撃が大きい」と理由を話している。

 ただし、せっかく雇用延長しても、仕事や処遇が一律ではベテラン社員の士気は上がらず、社内の活力にも影響する。大事なのは、成果主義など「やる気」や活躍を引き出す職場づくりと、そのための人材教育である。若手や非正規社員の採用、賃金にしわ寄せがいかないよう仕事を分かち合うワークシェアや柔軟な勤務体系などの工夫も望みたい。

 働く側としては、これまで以上に長く働くことを視野に人生設計を見つめ直し、必要ならば資格の取得やスキルアップなど自己研さんも求められよう。何より大切なのは、健康で意欲がある人が明るく働き続けられることである。

 

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