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かつて岸信介(のぶすけ)首相は、ワシントン入りしたその日にアイゼンハワー米大統領とゴルフを楽しみ、一緒にシャワーを浴びた。翌日からの会談で、両者は安保条約を改定する方向で合意、岸が「政治生命をかけた大事業」が動き出す。1957(昭和32)年6月のことだ▼首相になって4カ月、岸は対等な「日米新時代」を掲げていた。アイクは大戦の英雄、自らは元戦犯容疑者という仲ながら、「個人的信頼、友情関係」が力になったと回顧録にある。裸の付き合いが効いたと▼岸・アイク会談の重みは望めぬにせよ、安倍首相もオバマ大統領との顔合わせに期するところがあったのだろう。昼食を含め2時間。祖父が心血を注いだ日米同盟の「完全復活」を宣言してみせた▼もっとも、米側の関心は文言より実利とみえる。コメなどの関税を守りたい日本をTPP交渉に引き込むべく、「聖域」の余地を残した共同声明に応じた。回りくどい悪文は、交渉の結果によっては例外もあり得ると読める。これで日本の参加が固まった▼首相の記念講演の題は「ジャパン・イズ・バック」。強い日本が戻れば、東アジアの安定や日米関係に資するとの信念だ。アベノミクスへの自信ゆえか、おどおどした昔の面影はない▼アイクの時代、米国の懸念は東西冷戦だった。経済で独り立ちを図る日本を庇護(ひご)したのは、ソ連や中国への対抗策でもあった。安倍政権の幸先の良さを認めた上で思うのは、3世代を経ても変わらない、極東の冬景色である。