HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51882 Content-Type: text/html ETag: "2f5ce8-1805-4d63e5f9a2a9a" Expires: Thu, 21 Feb 2013 23:22:40 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 21 Feb 2013 23:22:40 GMT Connection: close 混合診療 適用拡大が患者の利益になる : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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混合診療 適用拡大が患者の利益になる(2月22日付・読売社説)

 先進的で効果のある治療であるなら、誰でも受けたい。患者の立場で、保険医療制度を改善していくべきだろう。

 政府の規制改革会議が「混合診療」の適用範囲の拡大を検討課題に掲げた。

 混合診療とは、公的医療保険で認められた検査や投薬とともに、保険が適用されていない治療法を併用することだ。現在は例外的にしか認められていない。

 その対象は、高度がん放射線療法の重粒子線治療や、家族性アルツハイマー病の遺伝子診断など、厚生労働省が指定した約100種類にとどまる。

 指定外で未承認の新しい治療を受けると、本来は保険が適用される検査や入院費用も含め全額が自己負担となってしまう。

 がんや難病の患者が最先端治療に希望を託したくても、経済的理由であきらめざるを得ないケースもあるのが現状だ。

 規制改革会議が混合診療の見直しを検討課題に挙げたのは、医療分野の規制緩和を成長戦略の一環と位置付けているからだ。

 再生医療を含む先進的な医療技術全般に混合診療の適用範囲を拡大するのは妥当と言えよう。

 自民党は昨年の衆院選の公約で、患者の利益にかなう最先端の薬や医療機器、治療法の迅速な導入を掲げた。混合診療の見直しは公約を具体化する一歩となる。

 政府が先進的な医療を後押しする姿勢を明確に打ち出すことで、医師が新しい医療技術に積極的に取り組む効果が期待できる。

 ただし、混合診療を野放図に拡大するわけにはいかない。

 厚労省は一貫して混合診療を原則禁止としてきた。科学的根拠のない治療を助長する恐れがあるという理由からだ。

 最高裁も2011年、この政策を追認した。未承認の新治療を受けていたがん患者が国を相手取った訴訟の判決で、「医療の質の確保や財源面の制約を考えると適法」との判断を示した。

 「安全性や有効性を脅かす医療行為を抑止する意味がある」とも指摘している。

 確かに、混合診療を無制限に認めると、高額なうえに効果が実証されていない危険な薬や治療が横行することが懸念される。

 最高裁判決の趣旨からも、何らかの歯止めは必要である。

 混合診療の対象は、海外で効果が確認された薬や治療法のほか、国内の医学会などが認めた医療技術に限定するのも有効な方法ではないだろうか。

2013年2月22日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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