HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 21 Feb 2013 01:21:56 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:元副署長免訴 “市民起訴”の手直しも:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

元副署長免訴 “市民起訴”の手直しも

 兵庫県明石市の歩道橋事故で、強制起訴された元明石署副署長に「免訴」の判決が出た。時効成立により、裁判を打ち切る判断だ。新しい検察審査会制度の意義は深いが、手直しも必要ではないか。

 過失は不注意や怠慢が原因となる罪だ。元副署長が問われたのは、業務上過失致死傷罪である。実刑判決を受けた明石署の元地域官と、現場にいなかった元副署長の共犯関係を認めるハードルは、そもそも高かったといえる。

 神戸地裁の判断は共犯関係を否定したばかりか、元副署長の過失自体を認めなかった。花火大会の日に歩道橋で大勢の見物客が転倒し、十一人が死亡した事故は二〇〇一年に起きた。当時の同罪の時効は五年である。

 元地域官の有罪確定は一〇年で、新しい検察審査会制度のもとで、元副署長が強制起訴されたのは、その直前だった。共犯者の裁判中は、時効を停止するとの定めがある。共犯でなければ、時効は成立する。同地裁はもともと起訴時点で時効だったとの判断で、免訴の結論を出した。

 新制度により強制起訴に至ったケースは、これまでに七件あり、一審判決のあった四件のうち、無罪が二件、有罪が一件で、今回の免訴がそれに加わる。新検察審制度は、司法手続きに市民の良識を反映させる大きな意義がある。

 検察は元副署長を四回にわたり不起訴にしていた。もし検察審に強制力がなかったら、元副署長は公開の裁判にも出ることはなかった。法廷で、警備にかかわる権限や、事故発生が予見できたかなどについて争われたこと自体に意味があると考えたい。

 ただし、“市民起訴”の制度にも改善の余地はあるのではないか。検察審の場で、まず被疑者に弁明の機会を与えることだ。審査補助員という弁護士も一人では足りない。仮に法的なアドバイスに偏りがあったら、市民は誤った判断に陥る可能性があるからだ。密室状態の検察審でいいのかという課題もある。ある程度の透明化の方策は考えられないだろうか。

 これまでの強制起訴ケースをみると、市民は権力側の暗部を疑ったりして、法廷決着を望んでいるようにもうかがえる。それは、特別な民主手続きにせよ、被告はむろん、まだ有罪であるわけではない。

 われわれも強制起訴されたからといって、被告人を犯人視してはいけない。推定無罪という大原則こそ胸に刻みたい。

 

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