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安倍首相が国会答弁で、金融緩和の一環として日銀の外債購入に言及した。円安誘導に効くとされる手法である。先週末に開かれた主要20カ国・地域(G20)会合をどう受けとめてい[記事全文]
事故で切れた神経を再びつないだり、がんで失った臓器を取り戻したりできたら――。からだの組織を再生させて病気やけがを治そうという再生医療は、現在の医療では快復が望めない患者やその家族から、熱い[記事全文]
安倍首相が国会答弁で、金融緩和の一環として日銀の外債購入に言及した。円安誘導に効くとされる手法である。
先週末に開かれた主要20カ国・地域(G20)会合をどう受けとめているのだろうか。
G20では、円安の加速を諸外国が強く警戒している現実が浮き彫りになった。
「円安誘導だ」と日本が名指しで批判される事態は避けられたが、それが自民党の選挙公約に掲げた「強力な通貨外交」の勝利だと映っているとしたら、認識が甘すぎる。
さすがに翌日には麻生財務相が外債購入の意向を否定した。首相も金融緩和の手段についての発言は控えると述べ、外債購入には慎重な姿勢に転じた。当然だろう。
首相の日ごろの発言は、目先の相場を意識しすぎている印象が拭えない。これでは日本の通貨政策の姿勢が疑われる。
日銀の外債購入は財務省による為替介入と実質的に同じだ。
介入では、財務省が短期証券で日銀から円を借り、外為市場でドルを買う。入手したドル資金は米国債などで保有する。
日銀の外債購入では、日銀が自らの円資金をドルに替えて買う。日銀総裁の有力候補である岩田一政・元日銀副総裁らが提案してきた。
日銀の資産規模が増えるので緩和といわれるが、国内経済への影響は不透明で、むしろ為替市場への影響が大きい。
「通貨安競争を回避する」「金融政策は国内の物価安定や景気回復に向けられるべきだ」というG20声明への挑戦と見なされるのは必至だ。
この際、日銀の外債購入や選挙公約にある官民協調の外債購入ファンドなど、円安誘導と疑われるものはきっぱり放棄すると表明してはどうか。「影の為替介入」と呼ばれるのが関の山だからだ。
現行制度では、対外的な介入は財務省、物価安定など国内での通貨価値の維持は日銀、という役割分担になっている。
この分担は絶対的なものではないが、今、わざわざ介入と紛らわしい手だてを打つ必要があるとも思えない。
日本はリーマン危機や欧州危機で急激に円高が進んだ際には介入に踏み切った。それでも、介入で得たドル資金はユーロの安定や国際通貨基金(IMF)の安全網のために拠出し、国際通貨秩序の安定に貢献する姿勢を貫いてきた。
このようにして培った信用を、首相自らが軽率な発言で無にしてはならない。
事故で切れた神経を再びつないだり、がんで失った臓器を取り戻したりできたら――。からだの組織を再生させて病気やけがを治そうという再生医療は、現在の医療では快復が望めない患者やその家族から、熱い期待を集めている。
血液関係など一部を除き、まだ動物実験の段階だが、安倍政権の緊急経済対策も研究の加速をうたう。山中伸弥・京都大教授の開発したiPS細胞(人工多能性幹細胞)など、幹細胞と呼ばれる特殊な細胞を使うのが代表的な手法だ。
その再生医療の安全さを確保して実用化を進めるには、一定の法規制が必要だ。
現在、厚生労働省の専門委員会が議論している。一番の狙いは、街の病院や診療所など一般の医療機関が先行して始めている「細胞を使った医療行為」にも守るべきルールを定め、健全さを保つことだ。
大学などの研究機関が幹細胞をヒトで試す場合(臨床研究)は厚労省の指針があり、国の承認なしには実施できない。
ところが一般の医療機関が、治療の名の下に患者本人の幹細胞などを使う場合は、医師の裁量に任されて実態も不明だ。
そこで、研究か治療かによる違いをなくし、どちらもリスクに応じた手続きを法で義務づける考えが話しあわれている。
iPS細胞を使うなど安全性が確かめられていない高リスクのものは、事前にしっかりした施設外の倫理委員会と国の承認を求める。一方、ヒトで実績が積まれてリスクが低いものは、施設内倫理委員会の了承と国への届け出でよしとするなど、区分けしようという案だ。
再生医療はまだ手探りの段階で、どんな幹細胞を患者のどこにどのくらい注入するか、単独か薬剤と一緒かなど、やり方が無数に考えられる。多くの試行錯誤から、有望な方向を早く見つけることが大切だ。一般医療機関もふくめ、年1回の結果報告を法で義務づけて情報を集めれば効率がいいだろう。
患者や家族が医療機関を選ぶのを助けるため、どこがどんな再生医療を試み、成績はどうか公開する案もある。
欧米や韓国はすでに何らかの法規制をかけている。
日本では、あたかも確立した医療かのように宣伝して患者を集めるクリニックなどがある。自由診療なので何百万円も請求された例や、因果関係は不明だが患者が死亡した例もある。
いい加減な医療行為を締め出し、安全な再生医療を実現する仕組みが要る。