HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51953 Content-Type: text/html ETag: "d13ec-1847-4d5ee135f3def" Expires: Mon, 18 Feb 2013 00:23:13 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 18 Feb 2013 00:23:13 GMT Connection: close 通貨安競争 対立の火種を残したG20声明 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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通貨安競争 対立の火種を残したG20声明(2月18日付・読売社説)

 自国通貨の為替レートを安く誘導する「通貨安競争」を避けることで、日米欧の先進国と中国など新興国が一致した。

 最近の円安に関し、日本が名指しの批判を回避できた点は評価できるが、対立が再燃する火種を残したと言えよう。

 主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が、モスクワで開かれた。

 安倍政権発足後、大胆な金融緩和と機動的な財政政策を組み合わせた経済政策「アベノミクス」が導入され、急速に円安が進んだことが焦点になった。新興国などから、「円安誘導策ではないか」という指摘が出ていたからだ。

 採択された共同声明は、「通貨の競争的な切り下げを回避する。為替レートを競争力を高める目標にしない」と明記した。懸念された日本への言及はなかった。

 麻生副総理・財務相が円安誘導策を否定し、「デフレからの早期脱却を目指す」という日本の政策目標を説明したことで、一定の理解が得られたようだ。

 ただし、声明は金融政策について、「国内の物価安定や経済回復に当てられるべきだ。負の波及効果を監視して最小化する」と強調した。為替市場などに悪影響を与え過ぎないよう、日本の政策にクギを刺したと解釈できる。

 ブラジル、メキシコなど新興国では、日米欧による金融緩和に伴う過剰な資本流入や、自国通貨高への警戒感が強い。円安がさらに進むと不満が高まりかねない。

 それだけに、政府・日銀はデフレ脱却に向け、アベノミクスの成果を着実に上げる必要がある。

 円安に頼るだけでなく、金融緩和と財政政策と並ぶ「3本の矢」である成長戦略についても、具体化を急がねばならない。

 産業界などでは、最近の円相場は、歴史的な超円高がやや是正されたに過ぎず、まだ相当の円高だという見方が出ている。

 政府・日銀はそうした状況への理解を他国に求めることが大事だが、併せて、閣僚や内閣官房参与らは具体的な為替水準に言及する口先介入を慎むべきだ。

 長期化した欧州危機が最悪期を脱し、米国の「財政の崖」もいったん回避されるなど、世界経済に明るい兆しが出てきた。

 だが、G20声明が「世界の成長はまだ弱すぎる」と指摘したのはもっともだ。成長と財政再建の両立も各国の重い課題である。

 日本はデフレ脱却と経済再生を急ぎ、世界経済の一層の安定に寄与することが期待される。

2013年2月18日01時26分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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