HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 52223 Content-Type: text/html ETag: "a7be7-1835-4d5d9f52a69a4" Expires: Sun, 17 Feb 2013 03:21:55 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 17 Feb 2013 03:21:55 GMT Connection: close 自賠責保険 合理化努力を値上げの前提に : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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自賠責保険 合理化努力を値上げの前提に(2月17日付・読売社説)

 ドライバーに負担増を求めるのなら、問題点を洗い出し、透明で合理的な制度に見直す取り組みが欠かせない。

 自動車保有者に加入が義務付けられている自動車損害賠償責任(自賠責)保険の保険料が4月から平均13・5%引き上げられる。2011年度の11・7%アップに続く大幅値上げである。

 収支悪化が引き上げの理由だ。12年度末の累積赤字は5000億円超に達する。08年度に保険料を大幅に値下げして保険料収入が減る一方、交通事故の死傷者への保険金支払いが増加した。

 自賠責の目的は、事故被害者の救済にある。収支を改善しなければ制度を維持できず、保険料の値上げはやむを得まい。

 ただ、交通事故の発生件数と死傷者数が減少し続けているのに、保険金支払いが高止まりしていることが懸念される。

 事故統計に含まれない軽傷者の請求の増加や、損保会社の査定が任意保険に比べて甘くなりがちな事情が背景にあるのだろう。

 自賠責の運営は民間の損保会社が担っている。国土交通省や金融庁などが連携し、保険金支払いが適正に行われているかどうかを検証する体制を整えるべきだ。

 重度後遺障害者の救済事業などに充てるため、保険料の運用益をためた積立金の扱いも問題だ。

 積立金は、国交省が特別会計で管理している。財政難の穴埋めを狙って、積立金のうち約1兆円が1994〜95年度に一般会計に繰り入れられた。返済期限は度々延期され、現在も約6000億円が戻されていない。

 積立金の残高は2000億円程度まで減少し、最近は運用益だけでは費用をまかなえず、積立金を取り崩している。

 被害者支援の原資となる積立金の流用は、自賠責の趣旨に合わない。財務省と国交省は、18年度までに全額返済するという約束を確実に実行してもらいたい。

 国、損保会社、JA共済が積立金の運用益で実施している被害者支援や事故防止対策の事業もチェックする必要がある。

 被害者支援は重要だが、ドクターヘリ普及策など3者の重複が目立つ。国が一般会計で手当てすべき事業や損保が社会貢献として行うべき事業も多い。必要性と効率性を精査することが肝要だ。

 事故を回避する自動ブレーキを装備した安全性能の高い車両には保険料を優遇するなど、今後は時代に合わせて全体の制度設計を検討することも求められよう。

2013年2月17日01時26分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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