HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 15 Feb 2013 20:21:55 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:グループホーム 防火は地域の協力も:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

グループホーム 防火は地域の協力も

 長崎のグループホーム火災では、スプリンクラーがなく、防火扉の不備も明らかになった。認知症の高齢者施設で悲劇が相次ぐ。防火設備の設置とともに、地域の人々と連携した避難が欠かせない。

 火災が起きたグループホームには、七十代から百歳を超える人々が入所していた。アットホームな雰囲気でケアをする認知症高齢者の入所施設だ。夜間の火事で犠牲になったのは、四人にのぼる。

 長崎市の二〇一〇年の調査で、階段部分と居住部分を区切る防火扉がないなどの不備があった。建築基準法違反として、市の行政指導を受けていたが、違法状態が続いていた。

 国土交通省によれば、全国で同法違反の施設は六百六十九カ所ある。防火扉ばかりでなく、非常用照明がなかったり、排煙装置がないなどのケースだ。ただちに是正措置を講ずるべきだ。

 今回、四階建ての一階と二階がグループホームだったが、亡くなった一人は、三階に住んでいた。運営実態の解明も待たれる。

 スプリンクラーもなかった。消防法で設置が義務付けられるのは、二百七十五平方メートル以上の施設で、今回はわずかに下回る二百七十平方メートルの施設だったからだ。国の調査によると、設置義務のある施設でも未設置は約52%、義務付けのない施設では約93%が取り付けられていない。

 認知症の人を火事で救うには、スプリンクラーが欠かせない。後手に回っている原因は、費用がかさむからだ。小規模施設でも厚生労働省の補助金が出るが、もっと支援を厚くして設置を加速させる思い切った対策が急務だ。

 〇六年には長崎県大村市のグループホームで七人が火災で死亡した。一〇年には札幌市の同様施設で七人が犠牲になった。いずれも夜間勤務の職員がたった一人だったことも、犠牲者の数を増やしたのではないか。

 認知症の高齢者は自力で避難することは困難だ。職員一人で消火活動や避難誘導するのも、到底、無理だ。地域との連携は不可欠といえる。厚労省の省令でも、地域住民と一緒に避難訓練を行うように義務付けている。日頃から、地元自治会や民生委員、入所者家族らを含めた避難訓練が必要だ。

 認知症の人は一二年で三百五万人、二五年には四百七十万人に膨れ上がると推計されている。悲劇を繰り返さない、万全の防護策を地域全体で考えたい。

 

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