HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 13 Feb 2013 23:22:39 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: 一昨年秋、中国を旅する機会があった。どこの都市でも、超高…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 一昨年秋、中国を旅する機会があった。どこの都市でも、超高層ビルの建設ラッシュ。渋滞する高速道路を走りながら、猛スピードで発展する中国の変貌に目を見張った▼内陸部の西安に移動する時のことだ。天気は快晴。機上から砂漠や山が日に照らされてくっきりと見えるのに、西安上空は黄色っぽい雲に覆われている。晴天でも、スモッグによって薄暗く感じる日があるとガイドが後で教えてくれた▼現在の中国大陸の上空を覆う大気汚染は、その当時の比ではなさそうだ。総人口の六割に当たる約八億人が影響を受けているという。原因は工場のばい煙や自動車の排ガス、暖房用の石炭燃焼などで排出される微小粒子状物質PM2・5だ▼東京都内の薬局で北京に出張するというビジネスマンらしき男性がマスクの相談をしていた。普通のマスクでは粒子を防ぎきれないという。北西の季節風に乗って日本列島にも汚染が観測されている▼急速な工業化をすべてに優先させ、国も企業も公害対策を怠っているのは高度成長期の日本と同じだ。「安全神話」にとらわれ、レベル7という最悪の原発事故を起こした私たちが、上から目線で隣国を笑うのは、天につばするようなものだろう▼水俣病、四日市ぜんそくなど、経済成長の裏面史には民衆の犠牲があった。同じ轍(てつ)を踏まないように日本の技術力を活用してほしい。

 

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