HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 64739 Content-Type: text/html ETag: "12b662e-1c6d-5587aa00" Cache-Control: max-age=1 Expires: Wed, 13 Feb 2013 00:21:05 GMT Date: Wed, 13 Feb 2013 00:21:04 GMT Connection: close
自前のロケットで猿が宇宙を旅したと、イランが自慢げに発表した。ところが「生還」した猿の顔が打ち上げ時と違う。無重力で膨らんだのでも、恐怖にゆがんだのでもなく、当局によれば写真を間違えたそうだ。古今東西、国威発揚にはウソが臭う▼イラン以上に「猿芝居」のお国柄ながら、北朝鮮の場合、良からぬことは有言実行らしい。予告通り、3度目の核実験である。かの国を戒める言葉は尽きたが、国際社会があきれるうちに、北の核は現実の脅威になりつつある▼弾頭を軽くして、先に人工衛星と称して打ち上げた弾道ミサイルにつければ、米国本土をも射程に収めかねない。試し打ちの時はロケットと衛星でも、実際に落ちてくるのはミサイルと核爆弾。イランの猿のように、別の顔となる▼東京の夕刊で、関西学院大を卒業する脱北女性(30)の話を読んだ。18歳で中国に逃れ、潜伏を経て日本にたどり着くまでの5年、自殺用のカミソリを手放さなかったという。北朝鮮への送還に備えてのことだ▼日本にいる約200人の脱北者で初めて大学を出ることになるが、「北生まれ」を言い出せない学生生活はつらかった。前回の核実験で、空気がさらに重くなったと顧みる▼脱北が決死行なら、恐怖政治と飢えの中に残るのも命がけだ。民の涙を尻目に、「金王朝」は体制を護持しようと核開発を急ぎ、孤立を深める。火遊びのたび、内外で泣く人がまた増える。横田早紀江さん(77)が嘆いた通り、「難儀な国」である。