HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51985 Content-Type: text/html ETag: "ff932-180f-4d53938b1705f" Expires: Fri, 08 Feb 2013 22:21:54 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 08 Feb 2013 22:21:54 GMT Connection: close 東電経営悪化 現実的な政府支援が必要だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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東電経営悪化 現実的な政府支援が必要だ(2月9日付・読売社説)

 東京電力の経営再建の行方が、一段と不透明になってきた。

 経営が揺らぐことで、福島第一原子力発電所事故への対応や、電力の安定供給に支障が出かねない。政府は、新たな公的支援の検討を急ぐべきである。

 東電は2013年3月期の税引き後利益の赤字見通しを、従来の450億円から1200億円へ、大きく下方修正した。

 柏崎刈羽原発の再稼働が大幅に遅れ、電力不足を補う火力発電の燃料費が、東電の業績を圧迫しているのが主因だ。

 火力発電燃料である液化天然ガス(LNG)などの輸入価格が、最近の円安で高騰したため、業績悪化に拍車がかかった。

 東電再生に向けて昨春に策定された総合特別事業計画は、初年度から目算が外れたと言えよう。

 東電は、燃料費の安い石炭火力発電所からの電力調達を目指しているが、石原環境相は「二酸化炭素の排出削減にネガティブ(不向き)だ」と述べ、難色を示した。結果として東電再建を阻む動きが政府内にもある。

 東電は4月から柏崎刈羽原発を順次、再稼働する計画だ。1基稼働すれば東電の収支は年800億円近く改善する計算となる。経営再建のカギを握るのは、原発の再稼働ができるかどうかである。

 ただし、原発の新たな安全基準を原子力規制委員会が策定するのは7月だ。柏崎刈羽原発は、放射性物質を除去するフィルター付きベント(排気)の設置も義務づけられる見通しで、再稼働へのハードルは一段と高くなる。

 安全を確認した後、円滑に再稼働することが肝要だ。政府があらかじめ、原発の安全性や必要性について丁寧に説明し、地元との信頼関係を築かねばならない。

 東電の業績が事業計画通りに回復しないと、取引銀行が追加融資を打ち切り、経営破綻の危機に直面する恐れもある。

 東電が昨年に続いて電気料金の値上げを迫られるとの見方も出ている。それを避けるためにも、政府主導で実現可能な計画に改めることが欠かせまい。

 原発事故の被害者に対する賠償額は3・2兆円に達し、さらに拡大が見込まれる。除染と廃炉を含めた費用は、10兆円規模に膨らむ可能性も指摘されている。

 巨額のコストを最終的にすべて東電に押しつける現行制度には無理がある。原子力政策を推進してきた政府も、原発事故の損害に応分の負担が求められる。

2013年2月9日01時40分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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