HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 09 Feb 2013 03:21:53 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: 柿間喜美さん(69)は、「みどりのおばさん」だ。三十年近…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 柿間喜美さん(69)は、「みどりのおばさん」だ。三十年近く川崎市の街角で小学生たちの登下校を見守ってきた▼毎日、顔を見ているから、分かることがある。真新しい服や靴を着てうれしそうな子には「おはよう、新しい靴だね」「いい服だね」。少し気落ちした顔の子もいる。そんな時は肩や背中をポンとたたき「いってらっしゃい」。柿間さんは「ほんの一、二秒のことなんです」と言う▼地元の中学に通う浅野愛子さん(12)のお母さんが、作文を渡してくれたのは昨年末のことだ。それを読んで、柿間さんは「これが私のお給料だな」と思った▼<なんだか少し暗い気分の朝、みどりのおばさんは、まるで私の気持ちがわかるかのように、そっと私の肩に手をおいてくれる。そんな時は、みどりのおばさんの心の中の言葉が手のあたたかさをつたって、私の心に聞こえてくるような気がする>▼中学に通うようになって、通学路は変わった。でも愛子さんは、時々遠回りしては、柿間さんに会いに行く。いつもの「いってらっしゃい」を聞くために▼愛子さんは、作文をこう結んでいる。<いつもあたりまえのようにそこにいてくれる、いつもあたりまえのように声をかけてくれる、いつもあたりまえのように笑顔で見送ってくれる−そんなみどりのおばさんがいてくれる、あたりまえのある風景が、私は大好きだ>

 

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