HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 65476 Content-Type: text/html ETag: "12e4184-1c82-a777dfc0" Cache-Control: max-age=1 Expires: Thu, 07 Feb 2013 20:21:07 GMT Date: Thu, 07 Feb 2013 20:21:06 GMT Connection: close
命に軽重はないけれど、喪失感の大きい訃報(ふほう)が続いた。才を惜しむ言葉を連ねつつ、神も仏もあるものかと嘆くばかりの小欄だが、ようやく神仏の存在を感じている。この子を死なせるわけにいかない▼「女性にも教育を」と訴え、武装集団に襲われたパキスタンのマララ・ユスフザイさん(15)が、肉声のコメントを出すまでに回復した。銃撃から4カ月。砕けた頭蓋骨(ずがいこつ)の穴はチタンの板で覆われ、耳には聴力を取り戻す器具が埋め込まれた▼心にも鉄の衣を着せ、命がけで闘う決意とみえる。生死の境をさまよって、なお「神に授かった新たな命は、人助けに捧げたい」と気丈に語る姿は胸を打つ。ノーベル平和賞の候補とされるのも道理だろう▼彼女の信念はとりわけ、同世代の女性に響いたようだ。鳥取の高校生(18)は、大阪本社版の声欄に「学ぶ意味、マララさんに知る」を寄せた。「教育を受ける権利が保障され、勉強ができることにもっと感謝しなければ。目的を持ち、楽しんで学ばなければと思います」▼日本や欧米では、勉強は「させられるもの」かもしれない。マララさんの受難を知れば、男女を問わず、皆が恵まれた境遇に気づかされよう。女性差別が残る国では、目覚めた娘たちが立ち上がっている▼人間、だれにも役割がある。生まれながらに伝統文化を背負い、歌舞伎の舞台に立つ少年がいれば、立志により「同性の未来」を担う少女がいる。生かされし幸運までも糧にする闘いに、今はただ、エールを送る。