HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 06 Feb 2013 21:21:04 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:中国の大気汚染 経済優先やめる潮時:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

中国の大気汚染 経済優先やめる潮時

 中国の大気汚染が深刻だ。最もひどい北京のスモッグ発生は、過去六十年で最悪だという。経済成長至上主義で環境対策を軽んじてきたツケである。周辺国への越境汚染も見逃すことはできない。

 濃い霧のため昼間でも薄暗い道路を、ヘッドライトをつけた車が走る。せきこむ子どもを抱えた親たちがひっきりなしに、呼吸器系の病院に駆け込む。

 汚染が深刻な北京の様子だという。中国政府によると、人口の半数近い六億人に影響が出た。

 北京市内にある米大使館の測定によると、今年一月は半分以上の日で、PM2・5と呼ばれる微小粒子状物質の濃度測定値が「危険」水準を超えた。

 北京大学などの研究では昨年、PM2・5が原因で、中国全土で八千五百人が早死にしたというデータすらある。

 この物質を吸い込めば肺の奥や血管にまで入り込み、ぜんそくや心臓疾患などを発症させるという。中国の人たちはむろん、在留邦人の健康被害も心配だ。

 大気汚染の主因は、自動車の排ガスや工場のばい煙、暖房用に燃やす石炭などだ。中国の自動車保有台数は一億台を突破し、十年前と比べて五倍以上になった。

 何よりも、環境より成長とばかり、有効な排ガスやばい煙規制をせず、無秩序な生産活動を許してきたことが問題である。

 北京五輪の前に、市内の工場群が郊外に移された。だが、環境対策は十分ではなく、今や郊外から汚染物質が流れ込んでいる。

 中国では共産党や政府の最高幹部が、大手石油や電力会社のトップに名前を連ねてきた。規制する側とされる側が一体であれば、当然ながら環境対策は進まぬ。

 九州などで基準値を超えるPM2・5が測定されたとの報告がある。黄砂と同様に、汚染物質が偏西風に乗り日本や韓国へ拡散する恐れがある。中国は越境汚染の対策にも十分気を配ってほしい。

 中国政府は大規模工場の操業停止を命じ、ようやく排ガス規制の強化に乗り出した。だが、環境対策はまだ不十分である。

 日本も半世紀前に公害問題に苦しんだ。原発事故では周辺国に不安を与えた。

 日、中、韓は一九九九年から毎年、環境相会議を開き酸性雨対策などを話しあってきた。PM2・5や越境汚染など、新たな問題に東アジア全体で取り組む努力も必要だろう。

 

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