HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 28 Jan 2013 20:22:37 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: 法隆寺の宮大工には、棟梁(とうりょう)の心構えが代々口伝…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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 法隆寺の宮大工には、棟梁(とうりょう)の心構えが代々口伝されている。昭和の大修理を担当し、「最後の宮大工」と呼ばれる故西岡常一さんは「堂塔の木組みは、寸法で組まず木の癖で組め」と語っていた▼木材には癖がある。左右にねじれを戻そうとする木を組み合わせ、部材同士の力で癖を封じ全体のゆがみを防ぐ。「木の心」ともいえる癖は育つ環境で左右される。それ故、山まで足を運んで地質の癖を見抜いてから買う。「木を買わず山を買え」と伝わるゆえんである▼「揃(そろ)えてしまうということは、きれいかもしれませんが、無理を強いることですな」と西岡さん。木の命をつなぐ技術があれば「木は鉄を凌駕(りょうが)する」という▼棟梁の立場は優れた教師に通じる。成育環境も踏まえ、子どもの性格を見抜いて長所を伸ばす技量が求められる。暴力と恐怖で服従させるのは、木の癖も考えずに木を組む三流の宮大工以下だ▼駅伝の名門校愛知県立豊川工業高校で、陸上部監督の教諭が体罰を加え、部員が退学や転校を強いられていたことが明らかになった。大阪市立桜宮高校に続くスポーツ強豪校での体罰の発覚である▼驚いたことに、学校側は部活動での指導の実績を強調して教諭を擁護した。「人の心がわからないようでは人を束ねてはいけません」とは西岡さんの言葉だ。監督の教諭にも、校長にも人を束ねる資格はない。

 

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