北朝鮮のミサイル発射を受け、国連安全保障理事会は制裁を強化する決議を採択した。北朝鮮は反発し、核実験をすると警告した。国際社会は結束して、実験を阻止しなくてはならない。
安保理決議は既に実施している制裁の対象に、北朝鮮の六団体と四人を追加した。発射を担当した政府機関や兵器輸出に関与する銀行の在外資産を凍結し、技術責任者らに渡航禁止を科した。
中国は当初、「議長声明」での決着を主張したが、より拘束力の強い制裁決議に同調した。長距離弾道ミサイルの能力が米本土に届くレベルに近づき、北朝鮮を擁護できなくなったのだろう。
安倍政権は「決議に日本の考えが多く反映された」と評価し、独自の追加制裁も検討している。
北朝鮮は激しく反発している。外務省声明では、ミサイルではなく平和利用の衛星打ち上げだと主張した。米国が決議を主導したと非難し、対抗措置として「核抑止力を含む自衛的な軍事力を強化する物理的な対応を取る」と、三度目の核実験を示唆した。
国防委員会の声明はさらに強硬で、「われわれが進める高水準の核実験も米国を狙うようになる」と明言した。いつ実施するかには言及していないが、準備が整ったと威嚇している。従来のプルトニウムではなく、高濃縮ウランを使い爆発力を確かめるのではないかという観測もある。
北朝鮮には強く自制を求めたい。核実験を強行すれば孤立は深まり、国際機関からの援助は大幅に減る。経済破綻はいっそう進み、国民の多くがまた飢餓に直面する恐れもある。
北朝鮮の目的は、米本土まで届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)に小型化した核弾頭を搭載する技術を獲得することだ。米国との交渉に持ち込み、自国の体制保証を取り付けるのが狙いだろう。
北朝鮮担当のデービース米政府特別代表が韓国を皮切りに、中国、日本を歴訪中だ。核実験を止めるには三カ国の連携が欠かせない。特に中国は、北朝鮮が軍事優先を続けるなら経済支援を減らすと伝えるべきだ。習近平体制の外交努力が試される。
二期目に入ったオバマ米政権は核問題について、軍事的圧力より外交を優先する考えだ。来月就任する韓国の朴槿恵・次期大統領も人道支援再開を検討している。北朝鮮指導部はせっかくの対話の機会を逃すべきではない。
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