HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 20 Jan 2013 20:22:36 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞: <上手ほと名も優美なり角力取>とは、芭蕉の高弟、其角(き…:社説・コラム(TOKYO Web)
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 <上手ほと名も優美なり角力取>とは、芭蕉の高弟、其角(きかく)の句。この名句をまさに体現したのが、大鵬だろう▼かつての流行語「巨人、大鵬、卵焼き」をそのまま書名にした自伝に、こんな逸話がある。先々代の二所ノ関親方から、しこ名を聞いての第一声は「エエッ、タイホウ?どんな字を書くのですか。ズドーンと撃つ大砲ですか」▼地元北海道のファンは摩周岳や屈斜路山といった名を期待していたが、親方は「そんな小さいものではない」と、中国の古典から採った。北海に潜む巨魚・鯤(こん)が変じて、ひと飛び数万里の巨鳥・鵬となる。「鵬翼」とは大事業のたとえだが、優勝三十二回という不滅の記録を打ち立てた▼運命の歯車が一つ狂えば北海に潜むどころか、海の藻屑(もくず)になりかねなかった。ソ連の侵攻で生まれ故郷の樺太から飛び乗った船は、一家が下船した直後、撃沈された。貧しい少年時代の辛(つら)い労働が、強靱(きょうじん)な足腰を作った。その足跡が、敗戦から奇跡の復興という時代を象徴する一人だった▼引退時は、こんな相撲甚句で送られたという。 王位にすわる十年 大鵬時代とうたわれて 飾る廻(まわ)しも心・技・体 相撲歴史に名を刻む たぐいまれなる名力士 あまたファンに惜しまれて 菊の香りを残しつつ 本日引退大相撲…▼日本中から惜しまれて、昭和の香りを残しつつ、巨鳥はその人生を閉じた。

 

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