HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51956 Content-Type: text/html ETag: "b1bc8-1848-4d3a6e5efc109" Expires: Sat, 19 Jan 2013 22:21:09 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 19 Jan 2013 22:21:09 GMT Connection: close 高齢者施設火災 ずさん管理を戒める判決だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




現在位置は
です

本文です

高齢者施設火災 ずさん管理を戒める判決だ(1月20日付・読売社説)

 管理がずさんな高齢者施設に対し、裁判所が警鐘を鳴らした。

 群馬県渋川市の高齢者施設「静養ホームたまゆら」で2009年に発生した火災により、入居者10人が死亡した。業務上過失致死罪に問われた運営法人の元理事長に対し、前橋地裁は禁錮2年の執行猶予付き判決を言い渡した。

 火災当時、当直者は1人だけだった。通路には燃えやすい灯油ポリタンクや段ボールが置かれ、煙感知器は未設置だった。避難訓練も実施していなかったという。

 判決が「施設運営の根幹である入居者の生命の安全に関わる注意義務を怠っていた」と非難したのは当然である。

 この施設は、いわゆる無届けホームで、東京都墨田区が、生活保護を受ける区内の単身高齢者に入所を斡旋(あっせん)した。

 区は施設の管理実態の調査をしないまま、住民を紹介していた。区の責任も免れない。

 墨田区のケースは、決して例外ではない。東京の多くの区でも、都外の施設に区民の入所を斡旋してきた経緯がある。

 生活保護を受けながら高齢者施設に入所している東京都区部の約2800人のうち、都外の施設で暮らす人は約7割を占める。

 施設の中には、たまゆらのように入所料金が安価な無届けホームも少なくない。厚生労働省の調査では、無届けホームは全国で約250か所に上る。

 背景にあるのが、都市部での介護施設の著しい不足だ。地価が高く、用地確保が困難な大都市での新設は容易でない。

 都市部で低所得者が入所できる「軽費老人ホーム」を増やすため、政府は補助制度を設けたが、建設は思うように進んでいない。

 地方の施設への入所が避けられない以上、住民の安全を確保するため、区は施設の運営状況をきちんと把握し、定期的にチェックすることが大切である。

 都市部の人が地元で暮らし続けられるよう知恵を絞ることも必要だ。中でも、高齢者が住みやすい住宅や在宅介護サービスの拡充は急務である。

 それには民間の力を活用することも欠かせない。NPO法人がアパートを借り上げ、介護サービス付きの高齢者向け住宅として運営している例がある。

 都市部の集合住宅の空室や空き家を高齢者向けに活用すれば、介護施設の新設より低コストで済むのではないだろうか。官民一体となった取り組みが求められる。

2013年1月20日01時41分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

 ピックアップ

トップ
現在位置は
です