未来を予測することはまったくもって、難しい。知りようのない明日への不安にかられ、すがりたくなるのが占いだ▼占い師をめぐる、こんな小話がある。街角で商う占い師二人が雨宿りしつつ嘆き合う。「運の悪さはどうにもならぬ。こんなに雨にたたられようとは」。もう一人も深く頷(うなず)き、「明日の天気もわが身の行方も測りかねる我々が他人の未来なぞ分かるものか」▼そういう予測できない未来の不安を少しでも取り除くのが政治、「政治は未来をつくるもの」と訴えたのが、滋賀県知事の嘉田由紀子さん率いる「日本未来の党」だった。総選挙前に衆院議員六十二人を擁していたが、当選は九人。惨敗を受け小沢一郎氏の一派が抜け、国政政党の資格も失った−というのは、つい先月のことだ▼その嘉田さんが一連の動きを振り返って言うには、「今思えば信じるべきではなかった」。信じてしまったのは、代表就任を求めた小沢氏の「あなたが出てくれたら百人通る」という口説き文句だという▼候補者名簿を公示日に初めて見た時、こう思ったとも話した。「これはだめだな」。嘉田さんは「小沢氏のご託宣にだまされた」とでも言いたいのだろうか▼代表が公示日に「だめだ」とその未来を占っていた党に、小選挙区と比例区で計六百万人以上が票を投じた。「だまされた」と言いたいのは有権者の方だろう。