HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51894 Content-Type: text/html ETag: "219b59-1863-4d3553c2a1c4f" Expires: Tue, 15 Jan 2013 22:21:53 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 15 Jan 2013 22:21:53 GMT Connection: close ドイツ「脱原発」 再生エネ普及に高いハードル : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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ドイツ「脱原発」 再生エネ普及に高いハードル(1月16日付・読売社説)

 風力や太陽光など再生可能エネルギーの本格的普及へハードルは高い。日本はドイツの試行錯誤に学ばねばならない。

 ドイツは、2022年までの原子力発電所全廃を決め、「脱原発」を打ち出した。代替電力として再生エネに期待をかけている。

 普及策の柱は、2000年に制定した再生エネの「固定価格買い取り制度」だ。電力会社が、再生エネの電力を一定年数、高値の固定価格で買い取る制度だ。

 これによって太陽光発電などへ参入が急増し、再生エネが発電総量に占める割合は、00年の7%から11年の20%まで伸びた。

 問題は、買い取り費用を上乗せするため、電気料金の引き上げに歯止めがかからない点にある。

 昨年10月、13年の年間電気代が1世帯あたり100ユーロ(約1万2000円)程度上昇する見通しが発表されるや、国民の不満が一気に高まったのも当然だろう。

 産業界も、料金引き上げに反発する。コスト高による経営への打撃を懸念するからだ。

 アルトマイヤー独環境相は昨年10月、固定価格買い取り制度の欠点を認め、再生エネ政策を抜本的に見直す方針を表明した。制度は大きな岐路に立たされている。

 再生エネ普及は、必ずしも関連産業の振興や雇用につながっていない。安い中国製の太陽光パネルに押され、ドイツのメーカーの破綻が相次いだことは象徴的だ。

 主力の風力発電にも問題がある。発電所が設置されているのは主に北部で、電力の大量消費地は南部の工業地帯だ。北から南へ送電線の新設が必要なのに、環境保護団体の反対で難航している。

 日本では民主党の菅政権が、ドイツを参考に再生エネの固定価格買い取り制度導入に踏み切り、昨年7月、制度はスタートした。

 しかし、最長20年間も通常より高い固定価格で買い取る仕組みには問題が多い。安価な太陽光パネルを大量に購入する企業が有利になるだけでは、技術革新も進みようがない。ドイツの現状を踏まえ、制度修正が急務である。

 独政府は、福島第一原発の事故で世論が「脱原発」に傾いた中でも、安全性を確認した上で、原発9基の稼働を続けている。近隣諸国から電力は輸入できるし、あと10年近く原発を動かすことで、電力の安定供給を支えている。

 日本では、稼働中の原発は2基だけだ。政府が安全な原発の再稼働を急がなければ、電力の安定供給体制が揺らぐ。

2013年1月16日00時15分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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