HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 64301 Content-Type: text/html ETag: "16f0604-1c7f-f8e136c0" Cache-Control: max-age=2 Expires: Tue, 15 Jan 2013 22:21:08 GMT Date: Tue, 15 Jan 2013 22:21:06 GMT Connection: close
化粧も飲食も、あれやこれやの傍若無人も、通勤電車で色々見てきた。これは何日か前に初めて見た。といっても顔をしかめる行為ではない。調理に使うような使い捨てタイプのビニール手袋をはめて、女性がつり革を握っていた▼30代半ばとおぼしき人でマスクもつけている。感染予防だろうと想像はつくが、うつらぬ用心か、うつさぬ気配りか。ともあれ注意深い人だと思っていると、傍らで、マスクなしに号砲一発のくしゃみを放つ人がいた。細心と野放図が入りまじる、風邪の季節の人模様である▼巷(ちまた)ではノロウイルスが下火になり、インフルエンザがじわり流行期に入ったようだ。本紙地域面には注意喚起の記事が目立つ。テレビの情報番組にも、戯画化されて目のつり上がった悪相の「ウイルス」が日々登場する▼受験生やご家族はピリピリしていよう。センター試験に関する資料を見ると、3年前は約500人がインフルで追試を受けたそうだ。せっかくの合格祈願が風邪の神に蹴散らされるのはつらい▼人は生涯に200回ほども風邪を引くと、『かぜの科学』(早川書房)という本にある。軽い「風邪っぴき」も含めてだが、延べ5年ばかり熱や咳(せき)、喉(のど)の痛みや鼻水などに耐える計算になるらしい▼招かれないのに来た客は帰るときに一番喜ばれる。その筆頭格だろうが、症状が引いても数日は人にうつす恐れがあるという。仕事で試験で「あした寝込めない」人は多い。用心を助ける気配りを、共有の心得としたい。