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薬のネット販売 安全確保するルール作り急務(1月14日付・読売社説)

 医師の処方なしで買える市販薬のインターネット販売を事実上、解禁する司法判断である。

 市販薬のうち、副作用の危険が比較的高い医薬品のネット販売を禁じた厚生労働省令は違法だとして、通販会社がネット販売できる権利の確認などを国に求めていた。

 最高裁は国の上告を棄却する業者側勝訴の判決を言い渡した。

 厚労省は2009年の改正薬事法で市販薬を3分類した。このうち、一部の胃腸薬や発毛剤などの医薬品については、省令で薬剤師らによる対面販売を義務付け、ネット販売を禁じている。

 判決は「改正薬事法からは対面販売を義務付ける趣旨は明確に読み取れず、省令は違法で無効」と結論付けた。法的な裏付けがないまま、省令でネット販売を規制した措置を批判したと言えよう。

 勝訴した業者はネット販売を再開した。他の通販各社も参入し、市場拡大が見込まれる。

 田村厚労相は、ネット販売の規制緩和に関する検討会を設置する意向を表明した。年内にも方針を打ち出す考えだが、販売ルール作りは急務である。

 市販薬のネット販売の利点は、薬局や薬店がない離島や山間部でも市販薬を入手できることだ。移動手段が限られる障害者や高齢者には便利だろう。

 ネット販売が普及すれば、医療現場の負担を軽減する効果も期待できる。軽い風邪でも救急病院に駆け込むケースが多く、医師を疲弊させているからだ。

 厚労省は、軽症なら自分で薬を買って養生する「セルフメディケーション」の必要性を訴えていたのに、一方でネット販売の禁止は明らかに一貫性を欠く。

 ただ、最高裁がネット販売の安全性にお墨付きを与えたわけではないことを忘れてはならない。

 市販薬でも、厚労省に副作用が報告されており、数は少ないながら死亡例もある。

 それだけに重要なのは、薬を購入しやすい利便性と、薬の安全性をどう両立させ、ネット販売ルールを策定するかだ。

 ネットでは薬を買う人の顔色や症状などを確認できない。販売業者が適正な薬の使い方や副作用情報を丁寧に説明し、その内容を確認しなければ購入できない案を検討する動きも業界などにある。

 大量購入する場合の対処法や、薬剤師を配置していない違法業者対策なども課題だ。便利で安全なネット販売を実現するため、官民で知恵を絞ってもらいたい。

2013年1月14日01時27分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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