HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 51793 Content-Type: text/html ETag: "2f5ac5-1869-4d2f19a2bc013" Expires: Thu, 10 Jan 2013 21:21:04 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 10 Jan 2013 21:21:04 GMT Connection: close 安保政策見直し 「動的防衛力」構想は推進せよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




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安保政策見直し 「動的防衛力」構想は推進せよ(1月11日付・読売社説)

 自衛隊の装備と体制の拡充は急務だが、重点分野を決めて、「選択と集中」を徹底することを怠ってはなるまい。

 安倍内閣が、民主党政権下で策定した「防衛計画の大綱」と中期防衛力整備計画(2011〜15年度)を見直す方針を打ち出した。新しい大綱と中期防の年末の決定を目指す。

 沖縄・尖閣諸島周辺での中国の政府船や航空機による相次ぐ領海・領空侵犯などを踏まえ、領土を守る体制の強化を図るものだ。

 中国の急速な軍備増強・近代化や海洋進出、北朝鮮の核開発・ミサイル発射など、日本の安全保障環境は厳しさを増している。

 中朝に加え、米国、韓国、ロシアなど周辺国が国防費を伸ばす中、日本だけが10年連続で防衛費を漫然と減らしてきた状況の転換を図ろうとすることは評価できる。艦船や航空機の修理もままならない現状は、早急に改善すべきだ。

 重要なのは、尖閣諸島を含む南西方面の防衛体制を強化することだ。海上・航空自衛隊の警戒監視活動を質・量とも充実させねばならない。冷戦終結後の艦船や航空機の大幅な数量削減に歯止めをかけ、反転させることが重要だ。

 優れた情報収集能力を持つ高高度無人偵察機グローバルホークに加え、在沖縄米軍が昨年配備した新型輸送機オスプレイの導入も、前向きに検討してはどうか。

 オスプレイの高い輸送力や機動力は、南西諸島などの離島防衛に大きな威力を発揮しよう。

 日米防衛協力指針(ガイドライン)見直しを通じた自衛隊と米軍の連携強化や、外交・安保の司令塔となる国家安全保障会議(日本版NSC)創設も優先課題だ。

 一方で、厳しい財政事情を考えれば、防衛予算を野放図に伸ばすことはできない。優先順位を定めて、陸上自衛隊の定数削減、施設の統廃合、装備調達の効率化などは着実に進める必要がある。

 政府・自民党が、現大綱の柱である「動的防衛力」構想の見直しを検討しているのは、疑問だ。

 動的防衛力は、多様な事態への対処能力を重視し、警戒監視や訓練など、部隊の運用を通じて抑止力を利かせる概念である。装備の保有や部隊の存在を抑止力とする「基盤的防衛力」構想に代わるもので、その方向性は正しい。

 米国も高く評価し、共同の警戒監視活動、訓練など日本との「動的防衛協力」を進めている。

 民主党政権の構想だから取りあえず見直そう、という発想なら、安易に過ぎよう。

2013年1月11日01時20分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。

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