HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 54676 Content-Type: text/html ETag: "178e303-1ccb-7cf210c0" Cache-Control: max-age=1 Expires: Thu, 10 Jan 2013 22:21:49 GMT Date: Thu, 10 Jan 2013 22:21:48 GMT Connection: close
「弘法筆を選ばず」と言うけれど、能筆で知られる弘法大師は、実際はよく筆を選んで使い分けたようだ。残した一文の中に「能書は好筆を用ふ」とあって、使う筆を細かく説いているそうだ。筆を選ばず、は神格化された人ならではの俗諺(ぞくげん)らしい▼そして、こちらも書の世界では神のような人である。4世紀中国の王羲之(おうぎし)は「書聖」と呼ばれ古今随一の書家とされる。名のみ知られて真筆は一つも現存しない、書道史上の伝説の巨人だ▼その作品の精巧な模本(写し)が、先ごろ日本で見つかった。良質な模本は世界でも10点前後しかないといい、専門家らは「世紀の発見」と興奮さめやらない。遠い昔、遣唐使らによってもたらされたものだという▼中国の古い史書「晋書」の王羲之伝は、書聖の筆遣いをこう讃(たた)える。「雲が飛び露が結ぶようにきれるかにみえてまた連なり、鳳(おおとり)が羽ばたき竜がわだかまるよう」。そして「眺めてはつきることがない」と(『王羲之』岩波現代文庫)▼見つかった模本は縦25・7センチ、横10・1センチ、24の文字が3行にわたって書かれている。千数百年も前に海を渡り、時を超えてきた麗筆のつらなりに、一つの小宇宙を思ってみる▼この模本が、長く小野道風(おののとうふう)の書と見られてきたというのも面白い。柳に飛びつく蛙(かえる)の逸話で知られる平安中期の書家である。22日から東京国立博物館で「書聖王羲之」展が始まる。墨と筆と漢字の文化圏。その歴史と豊饒(ほうじょう)に思いをめぐらせながら、足を運んでみるもよし。
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